研究課題/領域番号 |
19K10611
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
小島 弘幸 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (10414286)
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研究分担者 |
武内 伸治 北海道立衛生研究所, その他部局等, 主幹 (20414287)
室本 竜太 北海道大学, 薬学研究院, 講師 (30455597)
寺崎 将 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (10391195)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マイクロプラスチック / 核内受容体 / AhR / 制御性T細胞 / ベンゾトリアゾール系UV吸収剤 |
研究実績の概要 |
制御性T細胞(Treg)のマスター遺伝子Foxp3は、核内受容体のNR4Aやアリルハイドロカーボン受容体(AhR)に制御されていることが報告されている。我々はプラスチック添加剤に広く使用されているベンゾトリアゾール系UV吸収剤(BUVSs)に注目し、13物質のBUVSsについてNr4a活性とAhR活性をレポーターアッセイにより測定した。 NR4Aアゴニストあるいはアンタゴニスト活性は認められなかったが、高感度レポーター細胞株DR-EcoScreenを用いたルシフェラーゼアッセイの結果、UV-P、UV-PS、UV-9及びUV-090の4物質に用量依存的なAhRアゴニスト活性を見出した。特にUV-PSは、他の3物質に比べ10倍程度の強い活性を示した。AhRリガンド結合部位とBUVSsとの分子ドッキングシミュレーションによるin silico 解析では、これらの物質の中でUV-PSが最も強いAhRとの結合親和性が示された。 AhRアゴニスト活性を示したUV-P及びUV-PSをC57BL/6N雄性マウスに3日間経口投与し、脾臓中のCD4陽性細胞におけるTh1、Th2、Th17、Tregの存在比率をフローサイトメトリー法により測定した。その結果、UV-P及びUV-PSは有意にTregを誘導し、その誘導作用は UV-PS >UV-P であった。さらに、マウス脾細胞を用いたin vitro 試験では、UV-PS曝露がUV-P曝露に比べて低濃度でTregを誘導することが認められた。 以上の結果より、プラスチック添加剤であるBUVSsのいくつかは、AhR活性化を介してTreg誘導を惹起し、免疫系に対して抑制的に作用することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究で、プラスチック添加剤であるベンゾトリアゾール系UV吸収剤の経口曝露により、マウス脾臓中の制御性T細胞を有意に誘導することが明らかとなった。順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、プラスチック添加剤であるベンゾトリアゾール系UV吸収剤の経口曝露により、マウス脾臓中の制御性T細胞を有意に誘導することが明らかとなった。最終年度は、更なる作用機序の検討とマイクロプラスチックに吸着している海洋汚染物質による影響を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担研究者・武内伸治氏の研究室でルシフェラーゼアッセイキットを購入する予定であったが、余剰のキットがあったため次年度に購入を遅らせた。そのため次年度使用額が生じたと考えられる。
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