研究課題/領域番号 |
19K10616
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
塚原 照臣 信州大学, 医学部, 教授(特定雇用) (50377652)
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研究分担者 |
長谷川 航平 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (40846242)
野見山 哲生 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (70286441)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | MOCA / 生物学的モニタリング / 個人曝露濃度 / 尿中代謝物濃度 |
研究実績の概要 |
本研究は、本邦のMOCA取扱い職場における曝露実態について、個人曝露濃度測定と尿中代謝物濃度との関連を調べる生物学的モニタリング手法の確立を目標とした。MOCA取扱い企業の調査への協力を得るため、県内外の大学、労働局、労働基準監督署等に協力を求めた。膀胱がん発生事案の報道以降、企業側は調査の実施に関しては慎重であった。また、MOCAの取り扱いを取り止めて代替物質へ変更を行った企業も複数みられた。2020年度は、1企業より調査協力の申出があった。2020年11月に企業を訪問、現場の作業状況の確認、作業環境測定結果、取り扱い物質の情報、作業従事者の情報の収集を行った。新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、2021年5月に予定した調査は実施できなかった。 同年11月に調査を実施することができた。調査対象は、国内1事業所のMOCA取扱い作業に従事する男性10名(平均年齢49.7±16.1歳)とした。調査は、2021年11月の連続作業5日間に実施した。個人曝露濃度ならびに作業環境中濃度は午前と午後に分け測定し、時間加重平均濃度を求めた。採尿は、連続作業5日間の起床時と作業終了時、2休業日明けの起床時、に合計11回行った。尿中代謝物は、尿中総MBOCA濃度を測定し、クレアチニン値により補正した。 当該事業所の調査の結果の概要は次の通り。1)作業環境中のMBOCA濃度は、定量下限値未満だった。2)個人曝露濃度は、溶解MBOCA取扱い作業者のみから検出された。3)尿中総MBOCA濃度は、溶解MBOCA取扱い作業者から検査のたびに検出され、かつ、連続作業最終日に向けて高くなる傾向がみられた。 溶解MBOCA取扱い作業者における個人曝露濃度は許容濃度の約1~4%程度だったが、尿中代謝物濃度は生物学的許容値の約10~30%だった。手袋に付着したMBOCA、手袋装着忘れによるチャンバー内のMBOCA、が曝露源となり、相対的に、経気道吸収より経皮吸収の寄与が大きいものと考えらえた。
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