抗リン脂質抗体症候群 (APS) は、自己抗体に関連する障害・活性化により広汎・多彩な血栓症をきたす疾患である。APS患者に対しては、基礎研究や治療評価が行われているものの、一般集団におけるAPS患者の有病割合や血栓症発症などの長期予後を評価した疫学研究は少ない。本課題では、大規模レセプトデータベースにおける妊娠記録のある女性約20万人を対象として、妊娠期にAPS診断を受けた女性の頻度・APS診断有無による静脈または動脈血栓症発症リスクの比較・血栓症発症に関連する予防因子の探索を行うことは今後の臨床や研究に対して重要な基礎資料になると考える。初年度は、大規模レセプトデータベースを用いて、抗リン脂質抗体症候群(APS)患者の長期血栓症発症率を評価し、2020年日本疫学会にて成果発表を行った。
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