研究実績の概要 |
長期のエストロゲン欠乏は、女性NAFLDの閉経後の線維症リスクを上昇することが報告されている。そこで、肝線維化マーカーのM2BPGi値とTypeⅣコラーゲン7s値をアウトカムに女性NAFLDにおける脂肪肝の経時的変化(発生・持続・消失)と、環境要因との関連について前向き研究を行った。対象者は、2005~2009年に鹿児島県島嶼地域におけるJ-MICC研究ベースライン調査に参加した健診受診者で腹部超音波検査、5年後の第二次調査を受け、10年間の腹部超音波検査結果が利用できた女性228名である。ベースライン時、及び5年後を起点にそれぞれ2回連続して脂肪肝有りをNAFLD、2回とも脂肪肝無しを対照と定義し、ベースラインと5年後で、NAFLD++群、-+群、+-群として解析した。ベースライン時における閉経者は86.0%で、NAFLDとnon_NAFLDにおける閉経者の割合(P=0.39)、平均閉経年齢(P=0.90)、エストロゲンの平均欠乏期間(P=0.85)に差は無く、M2BPGi値とTypeⅣcollagen7s値と閉経との有意な関連は認められなかった。環境要因との関連は、M2BPGi値でAge(P<0.05)、γ-GTP(P<0.01)が正の相関を示し、TypeⅣcollagen7s値でALTが正の相関を示した。5年間の変化量では、M2BPGi値とHDL-cholesterol が負の相関を示し、TypeⅣcollagen7s値との関連は認められなかった。論文を再投稿中である。次に、NAFLDと脂肪肝新診断基準の代謝異常関連性脂肪肝(MAFLD)について横断的検討を行った。対象者は2005年~2012年に、J-MICC研究の鹿児島フィールドのべースライン調査に参加した健診受診者で、かつ腹部エコー検査を受けた男女4,912名である。脂肪肝は、38.8%(男性37.9%、女性62.1%)に認められそのうち、NAFLは69.1%、MAFLが76.1%であり、NAFLDとMAFLDの併存は63.4%に認められた。NAFLDとMAFLDの併存では、男性でALT、TG、BMI、女性でALT、FBG、BMIが正の関連、HDL-Cは男女とも負の関連が認められた。
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