研究課題/領域番号 |
19K10635
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研究機関 | 公益財団法人結核予防会 結核研究所 |
研究代表者 |
大角 晃弘 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 臨床・疫学部, 部長 (30501126)
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研究分担者 |
河津 里沙 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 臨床・疫学部, 主任研究員 (10747570) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 結核 / 外国生まれ / 帰国 / 治療継続 / 治療成績 / 医療通訳 / 患者紹介 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、1)後方視的研究として、結核登録者情報システムにおいて、治療成績が「転出」と評価された外国生まれ結核患者の属性や転出における状況、移動に伴う治療継続のための支援に関するニーズを明らかにし、2)前方視的研究として、結核治療中に母国への帰国を希望する外国生まれ結核患者を対象に面接調査を実施し、外国生まれ結核患者の立場から、移動に伴う治療継続のための支援に関するニーズを明らかにすることとともに、3)わが国とアジア太平洋地域の国々における多国間結核医療連携制度を構築し、国外へ転出した結核患者の帰国後の受診状況と最終的な治療成績とについて検証し、同制度の有用性について検討することである。1)については、2016年と2017年登録された外国生まれ結核患者で結核治療中に国外転出となった方が登録されている保健所に、結核患者の属性や転出時の状況についてのアンケート調査を行い、121の保健所から284人の外国生まれ結核患者についての情報を得た。その結果、保健所が患者帰国前に帰国先医療機関と連絡を取ったのは約2割の患者だけで、帰国した後の治療の有無を確認出来たのは、約12%であった。2)については、現在情報収集中である。3)については、2020年度以降、結核研究所臨床疫学部のホームページで多国間結核医療連携制度についての案内を開始し、2020年12月14日時点で、33人の紹介依頼があり、そのうち29人が帰国した。その中で1人が帰国後治療中断していたが、21人中14人(67%)で帰国後も治療継続中であることが確認でき、既に治療を終了しているはずの7人全員で治療完了したことが確認できた。本研究により、多国間結核医療連携制度構築のためには、帰国予定の結核患者さんとの信頼関係構築と意思疎通の改善、帰国後の継続したフォローアップ体制構築等の面で課題があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・2020年は、新型コロナ感染症の拡大のため、海外と日本間での渡航者の激減が認められたため、予想していた対象患者数が少ない状況が続いた。 ・帰国先での2週間の隔離生活が必要となり、帰国後の医療機関受診までに時間を要すること、帰国前に帰国予定を計画することが困難となり、頻回に日程変更を繰り返す事例等、新型コロナ感染症拡大の影響のため、想定外の状況に柔軟に対応する必要性が出ている。。
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今後の研究の推進方策 |
・2021年においても新型コロナ感染症による様々な影響があることが予想されるが、日本国内で結核治療を開始した外国生まれ結核患者が、帰国後も医療機関に受診し、結核の治療を確実に完了することを確認するメカニズムの構築は可能であり、その有用性を検証するために必要な情報を収集することも可能である。 ・今年度も、本研究の対象国となっている国々の保健省結核対策課職員及びフィリピン・ベトナム等における現地支援者と、国内における本研究の実施担当者とがより綿密に連絡を取り、情報収集を継続して研究を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究1年目において、本研究での海外出張業務を他の出張と合わせて実施することにより、支出を抑制したことと、研究2年目ではCOVID19の影響により、旅費支出がなくなったこととにより、支出額が抑制できた。
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