研究課題/領域番号 |
19K10635
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研究機関 | 公益財団法人結核予防会 結核研究所 |
研究代表者 |
大角 晃弘 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 臨床・疫学部, 部長 (30501126)
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研究分担者 |
河津 里沙 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 臨床・疫学部, 主任研究員 (10747570) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 結核 / 患者紹介 / 帰国 / 治療継続 / 治療成績 |
研究実績の概要 |
【目的】日本で結核と診断された外国生まれ結核患者が、治療中に帰国する場合の日本とアジアのいくつかの国の間における患者紹介制度を構築する。 【方法】フィリピン・中国・ベトナム・韓国・ミャンマー・インドネシア等の各国家結核対策関係者と同意書・患者紹介状を作成し、紹介患者電子台帳を用いて、治療中の結核患者が日本から帰国後も結核治療を継続するためのメカニズム(BTBC)を構築する。主な指標としては、帰国後の初回受診率(=帰国後初回受診率)と帰国後治療成績(=治療成功率)である。 【結果】2021年10月末までのBTBCによる患者紹介状況をまとめた。2020年1月以降61人の患者紹介の依頼を受付け、そのうち帰国前に治療を終了していた4人と潜在性結核感染症者3人を除く結核患者54人を分析対象とした(表1)。帰国後の医療機関受診を確認できたのは46人(帰国後初回受診率85.2%、95%信頼区間(CI)[72.9 - 93.4])、10月末時点で結核治療が終了していると推定された40人の治療成績は、治療成功が29人(治療成功率72.5%、95%CI[56.1 - 85.4])、治療中断が5人(12.5%、95%CI[5.5 - 26.1])で、そのうち2人がRFP単剤耐性または多剤耐性肺結核患者、残り3人は小児肺結核患者であった。 【考察】帰国後の医療機関受診状況の確認は85%以上を達成していたが、帰国後の治療成績では治療中断率が12.5%で高かった。治療中断となった5人のうち2人がRFP単剤耐性または多剤耐性の肺結核患者であり、残り3人の小児肺結核患者においても、帰国前の受け入れ先国の関係者と連絡を十分に確保できていなかったことと、BTBC担当者と患者とのコミュニケーションも十分とは言えなかった。今後も帰国後も結核患者の治療が継続して、無事に治療を終えるために、帰国前・帰国後の結核患者・現地結核対策関係者との連絡を密にし、各患者の必要な支援を継続して実施する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の世界的大流行の影響により、国内で診断・治療される外国生まれ結核患者数が減少し、その結果、紹介対象国への結核患者紹介数が減少した。その結果、予定していた患者数に達していない。
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今後の研究の推進方策 |
上記の理由により、結核患者紹介数をさらに増やすため、研究期間を1年間延長して、予定紹介患者数を目指す。また、次年度には、得られた知見を整理し、まとめた上、論文にて発表する予定です。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の世界的大流行により、国内で診断・治療される外国生まれ結核患者数が減少し、紹介対象国への結核患者紹介数が減少した。そのため、紹介患者数を目標数に近づけるために、次年度において残額を用いて、引き続き外国生まれ結核患者の紹介を継続する予定。さらに、これまで得られた知見を整理し、論文にて発表する予定である。
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