研究課題/領域番号 |
19K10636
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宮下 ちひろ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任准教授 (70632389)
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研究分担者 |
小林 澄貴 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (10733371)
湊屋 街子 北海道大学, 保健科学研究院, 特任講師 (50733367)
岸 玲子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, センター特別招へい教授 (80112449)
アイツバマイ ゆふ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (90752907)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 小肥肥満 / 喘鳴 |
研究実績の概要 |
児の肥満傾向はカウプ指数18以上(厚生労働省)と定義した。1歳、2歳、4歳、7歳児の肥満傾向有の人数(割合)は2674 (22.1%)、909 (8.6%)、337 (4.0%)、および872 (10.9%)であった。アレルギー(ISAAC)調査票に過去12ケ月間で喘鳴症状が有と回答した1歳、2歳、4歳、7歳児の喘鳴症状の人数(割合)は1408 (11.8%)、1871 (18.7%)、1505 (18.7%)、および840 (11.7%)であった。カイ2乗検定で、妊娠初期と後期の喫煙、生後の児の受動喫煙は喘鳴症状の割合が高かった。4歳の喘鳴症状を除き、母の妊娠前肥満傾向(BMI25以上)の場合、児の肥満傾向と喘鳴症状の割合が有意に高かった。母の妊娠前肥満傾向は母のアレルギー歴とは関連がなかった。児の肥満傾向を曝露、児の喘鳴症状をアウトカムとして、母の年齢、妊娠前肥満傾向、出産歴、学歴、および妊娠初期喫煙、児の性別で調整したロジスティック回帰分析を実施した。1歳、2歳、4歳、7歳児の肥満傾向の場合、各年齢と同じかそれ以降の年齢の1歳、2歳、4歳、7歳児の喘鳴症状の調整済みオッズ比が有意に増加した。オッズ比の最小は1歳肥満傾向による7歳喘鳴症状の1.19、オッズ比の最大は4歳肥満傾向による7歳喘鳴症状の1.6であった。幼児期の過度な肥満は、気管支の成長や免疫発達に影響し、小児喘息の発症リスクを増加させることが報告されている。本研究では、幼児の肥満傾向が同じ年齢かそれ以降の年齢の喘鳴症状への影響を縦断的に多変量解析で明らかにした。肥満傾向と喘鳴症状のリスク要因である母の妊娠前肥満を調整した後も、幼児期の肥満は学童期までの喘鳴症状のリスク要因であり、学童期以降の喘鳴リスクに与える影響を引き続き検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、出生前向きコホート研究で生後早期の過剰な体重増加や肥満が学童期・青年期の喘息リスクを増加させるかを明らかにすることである。令和元年度は幼児期の肥満傾向が幼児期と学童期の喘鳴症状リスクを増加させることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き幼児期と学童期の肥満が、その後の喘鳴リスクに与える影響を検討する。さらに出生前向きコホートを用いて、青年期のアレルギー調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画で予定していた調査票の発送および回収、謝品の支出について、異なるテーマで同じ時期に調査を実施する他の研究費からの支出が可能であった。研究費を効率的に使用し、研究費の次年度使用が発生した。令和元年から次年度使用となった研究費は、令和2年度で調査の実施および生体試料の分析に使用する予定である。
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