研究課題/領域番号 |
19K10636
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宮下 ちひろ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任准教授 (70632389)
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研究分担者 |
小林 澄貴 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (10733371)
湊屋 街子 北海道大学, 保健科学研究院, 特任講師 (50733367)
岸 玲子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, センター特別招へい教授 (80112449)
アイツバマイ ゆふ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (90752907)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 小児肥満 / 喘鳴 |
研究実績の概要 |
出生コホートに参加する保護者に対して、小学校6年間、年2回、合計12回の学校定期健診から、測定日、身長、および体重について記録の転記を依頼した。小学校6年生の前期の健診の身長と体重から、小児の肥満度20%以上を肥満傾向と定義してケースを抽出した。小学校6年生前期のデータが欠損した場合は、小学校6年生の後期の健診データで補完した。既に保存してあった臍帯血を用いて脂質代謝関連物質であるアディポサイトカイン(アディポネクチン、レプチン)、および炎症性サイトカイン(TNGα、IL6)を測定した。独立変数を対数変換した臍帯血中のアディポサイトカインまたは炎症性サイトカイン、従属変数を小学校6年生の肥満傾向として、母の年齢、妊娠前肥満傾向、出産歴、母の学歴、および妊娠初期喫煙と飲酒、児の性別で調整したロジスティック回帰分析を実施した。さらに男女別で層別化したロジスティック回帰分析も実施した。 臍帯血中のアディポネクチン、レプチンやTNGαレベルは小学校6年生の肥満傾向と有意な関連が認められなかった。炎症性サイトカインであるIL6の濃度が上がるほど、小学校6年生の肥満傾向リスクは低下する傾向が認められた(オッズ比(95%CI)=0.86 (0.73, 1.02))。男女別にわけて解析した場合、男児でのみ、IL6と小学校6年生の肥満傾向リスクが低下する傾向が認められた(オッズ比(95%CI)=0.79 (0.61, 1.03))。女児では関連が認められなかった。出生直後のIL6レベルは特に男児の学童期の肥満リスクに関連する可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、出生前向きコホート研究で生後早期の過剰な体重増加や肥満が学童期・青年期の喘息リスクを増加させるかを明らかにすることである。令和2年度は臍帯血中のアディポサイトカイン(アディポネクチン、レプチン)、および炎症性サイトカイン(TNGα、IL6)のうち、IL6による肥満傾向リスク低下が認められた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き臍帯血中のアディポサイトカインおよび炎症性サイトカインが幼児期から学童期のアレルギーおよび肥満を含む体格に関連するか解析する。さらに出生前向きコホートを用いて、青年期のアレルギー調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画で予定していた調査票の発送および回収、謝品の支出について、異なるテーマで同じ時期に調査を実施する他の研究費からの支出が可能であった。研究費を効率的に使用し、研究費の次年度使用が発生した。令和2年から次年度使用となった研究費は、令和3年度で調査の実施および生体試料の分析に使用する予定である。
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