研究課題
本研究の目的は、生活習慣病に最も影響を与える体脂肪量とBMIの組合せを検討し、生活習慣病リスクの高い高値BMI集団と生活習慣病リスクの低い正常BMI集団を正しく弁明することである。まず最初に生活習慣病として高血圧に着目し、体脂肪量指数および除脂肪量指数の組合わせと高血圧の関連について解析を行った。本研究の仮説として、体組成を考慮した体脂肪量指数および除脂肪量指数の組合わせを用いることで高血圧有病におけるモデルの当てはまりの良さがBMIを用いた場合よりも優れると仮定したが、高血圧有病のAUROCは、BMIを用いた場合と同程度であった。本研究により、体脂肪量指数および除脂肪量指数の減少、つまり体重の減少が高血圧予防に重要であることが示唆された。また、男性において、体脂肪量指数が最も低値の群では除脂肪量指数と高血圧有病との間の関係が弱い可能性があることが示唆された。本結果を論文にまとめ、acceptされている。また、生活習慣病として糖尿病に着目し、体脂肪量指数および除脂肪量指数の組合わせとHbA1cの関連について解析を行った。男女とも全ての除脂肪量指数群で、体脂肪量指数が高いほどHbA1cが高かった(傾向性のP値<0.001)。一方、多くの体脂肪量指数群で除脂肪量指数が高いほどHbA1cが高い傾向は見られなかった。以上より、体脂肪量指数の減少が糖尿病予防に重要である可能性が示唆され、その内容を論文にまとめ、acceptされている。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、3年間の予定実施期間中で、生活習慣病として高血圧および糖尿病に着目し、体脂肪量指数および除脂肪量指数の組合わせとの関連解析を行った。また、頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)の肥厚との関連解析を進め、その成果を第32回日本疫学会学術総会(2022/1/26-28)にて報告しているが、予定実施期間内で研究成果をまとめることが難しいため、1年間の延長を行った。
現在、体脂肪量指数および除脂肪量指数の組合わせと頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)の肥厚との関連解析を進めている。解析の結果、男女とも全ての体脂肪量指数グループで、除脂肪量指数が高いほど頸動脈IMTが高かった。頸動脈IMTは動脈硬化だけでなく、除脂肪量の高い代謝要求に伴う血圧の上昇による血管壁の肥厚のような血行動態の生理学的な適応も示している可能性があり、その成果を第32回日本疫学会学術総会(2022/1/26-28)にて報告している。現在、学会報告内容を論文としてまとめている。
次年度使用額が生じた理由として、体脂肪量指数および除脂肪量指数の組合わせと頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)の肥厚との関連解析の結果の論文投稿費用、国内外の学会参加費を支出予定である。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Clinical and Experimental Hypertension
巻: 43 ページ: 610~621
10.1080/10641963.2021.1925681
Journal of Diabetes Investigation
巻: - ページ: -
10.1111/jdi.13729