研究課題/領域番号 |
19K10639
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
森田 彩子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授(キャリアアップ) (30595038)
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研究分担者 |
藤原 武男 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80510213)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 認知症 / 脳の構造 / 社会経済的地位の変化 |
研究実績の概要 |
今年度、申請者を中心とした研究グループは、引き続き脳構造に着目をした解析を進めた。具体的には、幼少期から老年期に至るまでの社会経済的状況の軌跡が、高齢期における認知症の発症リスクに関連する脳部位の容量と関連を示すか、新潟県十日町市において経時的に調査が行われている地域高齢者コホートのデータを用いて検討を行った。 まず対象者を幼少期から老年期における社会経済的地位をそれぞれ上流階級・中流階級・下流階級の三分位に分けたところ、一定して中流の社会経済的地位を享受してきたものが最も多く、次に幼少期は上流階級であったが、青年期~老年期にかけて下降、幼少期は下流階級であったが、青年期~老年期にかけて上昇といった3つの軌跡に大きく分類された。次に先行研究を参照に、2017年度に実施されたMagnetic Resonance Imaging (MRI)データのうち 、認知症に脆弱な部位(発症リスクを高める部位)を複数同定し、関連を健闘した。結果、一定して中流の社会経済的地位を享受した群と比較して、経済的に豊かではない家庭に生まれたものの高い教育歴を受けて社会経済的地位を上昇していった群は、老年期における海馬の容量がより大きいことが示された。 これまで幼少期における社会経済的地位が低いほど、老年期の認知機能が低いこと、認知症を発症するリスクが高いことが報告されてきたが、社会経済的地位の軌跡が関連することを踏まえて、認知症の機序の理解をさらに深める必要があることが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象地域を含む全国的な新型コロナウィルス感染症の拡大により、フォローアップ調査が実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
社会的ネットワークの特性と認知症に関連する認知機能や脳構造の特性との関連を検証するべく、引き続き複数の自治体で収集された既存のデータを用いて解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
全国的な新型コロナウィルス感染症拡大によりフォローアップ調査が未実施のため次年度使用額が生じました。その分を最終年度である翌年度分として請求し、課題遂行のための調査及び解析のために使用いたします。
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