研究課題/領域番号 |
19K10654
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
川添 美紀 福岡大学, 医学部, 講師 (30469374)
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研究分担者 |
有馬 久富 福岡大学, 医学部, 教授 (20437784)
坪井 義夫 福岡大学, 医学部, 教授 (90291822)
藤岡 伸助 福岡大学, 医学部, 講師 (20735584)
前田 俊樹 福岡大学, 医学部, 講師 (50555555)
辻 雅善 近畿大学九州短期大学, 生活福祉情報科, 准教授 (30461809)
佐藤 敦 福岡大学, 医学部, 助教 (60816263)
緒方 利安 福岡大学, 医学部, 准教授 (20609490)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 腸内細菌叢 / 多系統萎縮症 / 前向きコホート研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、福岡県在住一般住民の前向きコホート研究にて得られた約1000名の健常者と、臨床的に多系統萎縮症(Multiple system atrophy: MSA)と診断された約100名の患者との腸内・口腔内細菌叢の組成を次世代シークエンス解析にて比較し、腸内・口腔内細菌叢異常がMSAの発症や進展にどのような影響を及ぼしているのかを疫学的に明らかにすることを目的としている。これらを比較することで、MSAの発症や重症化を予防し、将来的には認知症など他の神経変性疾患の発症や重症化も予防する方法の開発の足がかりとしたいと考えている。 2021年度も、引き続きコントロール群となる一般住民の検体採取や腸内細菌叢解析を中心に行った(川添・有馬・佐藤・辻・前田)。これまでの期間で、約750名の健常者の腸内細菌叢解析を終了している。同時に、MSA患者の検体採取と腸内細菌同定を引き続き行い(川添・緒方・藤岡)、これまでのデータベース整備・統合を継続した(川添・辻・佐藤・前田)。これまでのMSA症例数は17名である。COVID-19感染症の影響で、MSA患者の検体採取は当初の目標数に到達していないが、今後の延長期間で1例でも多くの患者の検体採取を行い、最終的に、疾患分類・罹病期間・進行度などのMSAに関する臨床情報および質問用紙で聴取した既往歴、食事内容などのその他の臨床情報と、腸内細菌叢組成との関連を検討し、研究最終年度に学会で報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、ケース群である多系統萎縮症のリクルートは3年で100人の予定であった。しかし、2020年初頭からの新型コロナウィルス感染症のアウトブレイクの影響もあり、他院への訪問制限、感染対策やプロトコールの見直しなどに時間を要したと共に、研究協力病院への訪問を制限したこともあり、患者のリクルートが遅れている状態である。コントロール群である一般住民のリクルートに関しては、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症への対応、テレワーク業務が増えたこと、他院への訪問制限、地域病院連携の推進などが影響し、昨年度同様、研究活動が制限されていると同時に、MSA患者のリクルートに苦戦している状態である。一方、2022年7月から1年間アメリカ合衆国Mayo Clinicでの研修が決まっており、本研究を1年間中断し、帰国後研究を再開する予定である。神経病理や中枢への蛋白蓄積について研鑽を深め、本研究にその知見を還元する。また、研究再開後も適切な状況判断の下に他院への訪問を継続し、MSA患者の診断・リクルート業務を継続してゆく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度同様、研究活動が制限されていることが影響し、当初の想定よりMSA患者のリクルート数が伸びず、その結果腸内細菌叢DNA解析数が少なかった。そのため、本研究の予算として大部分を占める額を計上していた遺伝子解析費用を下回ったことが次年度使用額が生じた理由である。研究再開後も適切な状況判断の下に他院への訪問を継続し、MSA患者の診断・リクルート業務を継続してゆく方針である。次年度も引き続き腸内細菌叢DNA解析費用に使用する予定である。
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