研究実績の概要 |
2019年に、ニャチャン・パスツール研究所と合同で、ベトナム中部の4つの省(Khanh Hoa, Ninh Thuan, Binh Dinh, Quang Ngai)において、1-39歳の住民を対象に調査を実施した。年代ごとのHBs抗原陽性率は、1-4歳で1.4%[0.4-4.5]、5-9歳で3.0%[1.6-5.4]、10-14歳で0.8%[0.1-3.4]、15-19歳で3.8%[0.9-14.3]であった。20-24歳では8.8%[5.3-14.1]であり25歳以降もほぼ同様であった。ベトナムではB型肝炎ワクチンが1997年に導入され、2002年に全国的に拡大されており、20歳未満におけるHBs抗原陽性率の低下に大きく寄与したものと考えられた。一方で、5-9歳で一時的にHBs抗原陽性率の上昇を認めており、副反応に関するメディア記事の影響で予防接種率が一時的に低下したとされる時期と一致しており、その影響が疑われた。簡易迅速診断キットを用いたHBs抗原陽性率の推定を通して、予防接種プログラムを評価するうえでの貴重な情報が得られており、リソースが限られた地域で比較的安価かつ実施可能な手段として、本調査手法は有用と考えられた。 また、同じ被験者を対象にした別の調査の残余検体(乾燥ろ紙血液)を使用し、ECLIA法にてHBs抗原検査を実施し、簡易迅速診断キットによる結果との一致を調べ、さらにフィールドで血清調査を行う際のコストを比較した。両者の結果の一致率は99%であり、カッパ係数は0.9であった。前者による調査の推定コストは75,291ドルであったのに対し、後者の場合は53,182ドルであった。両検査は同程度の水準で結果を得られると考えられる一方、簡易迅速診断検査はコスト面で優位、乾燥ろ紙血液ベースのECLIA法は、複数の感染症を同時に評価する際に有用であると考えられた。
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