研究実績の概要 |
研究代表者はゲノムワイド関連解析(GWAS: genome wide association study)の手法を用いて栄養素摂取量や食品群摂取量、食事嗜好性を規定する遺伝要因を日本人一般集団において同定することを目的として本研究を開始した。研究対象者は日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study: Japan Multi-Institutional Collaborative Cohort Study)の参加者約14,500名とした。
本年度は対象者の食物摂取頻度調査票の回答より推定した野菜・果物摂取量に着目し、これらの多量摂取者(摂取量が上位10%または20%の者)をアウトカムとしたロジスティック回帰分析および野菜・果物摂取量を連続量としたQTL(quantitative trait locus: 量的形質遺伝子座)解析をあらたに実施した。またローカーボスコアにもとづく低炭水化物摂取に関するGWASを行った。アウトカムに影響を与える可能性がある他の要因(年齢、飲酒、エネルギー摂取量、BMIほか)を分析モデルで調整した。
男性の野菜摂取量のQTL解析において、9番染色体長腕領域にゲノムワイド有意(P < 5×10-8)な関連を持つSNP(single nucleotide polymorphism: 一塩基多型)を同定した。また男性の果物の多量摂取者(摂取量が上位20%の者)をアウトカムとしたロジスティック回帰分析において、12番染色体短腕領域にゲノムワイド有意な関連を持つSNPを同定した。本関連は飲酒習慣とは独立であった。女性での解析では有意な関連を持つSNPを認めなかった。またローカーボスコアにもとづく低炭水化物摂取に関するGWASでは、飲酒量を調整した分析モデルで有意なSNPを認めなかった。
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