研究課題
基盤研究(C)
コロナ禍のため、ラオス国における現地調査が不可能であった。そのため、2017年にラオス国で実施された全国世帯調査のデータを用いて研究を行った。その結果、他の要因を統計的に調整しても、手洗い場に石鹸が無い世帯の乳幼児は、手洗い場に石鹸がある世帯の乳幼児に比べて、より多くの下痢症エピソードを発症していることが判明した。さらに、他の要因を統計的に調整しても、手洗い場に石鹸があるかどうかは、世帯主の経済状況や学歴と関連していることが判明した。
公衆衛生学
途上国の農村では、下痢症は主な健康問題の一つである。下痢症罹患の約30%は、石鹸を用いた手洗い行動によって予防可能といわれているものの、その行動は普及していない。本研究は、ラオス国において石鹸を用いた手洗い普及するための情報を提供することができた。すなわち、手洗い場に石鹸を設置する世帯を増やすことによって、5歳未満児の下痢症の罹患率を減少できる可能性を示した。加えて、石鹸を入手しやすくすることや石鹸使用の重要性を教育すること等によって、石鹸を設置する世帯が増える可能性を示した。