研究課題/領域番号 |
19K10666
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
鷲見 紋子 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (10363699)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 結核 / 多剤耐性菌 / 時系列解析 / 気象 / 季節性 / 喀痰塗抹陽性 / 喀痰塗抹陰性 |
研究実績の概要 |
結核のリスクファクターの一つとして、日射量不足によるビタミンD欠乏症が報告されている。そこで、喀痰塗抹陽性(SSP)および陰性(SSN)の流行変動と気象データの相関について、2019年度は次の6点について、一定の成果を得た:1)日本と中国(武漢市)の結核サーベイランスにある喀痰塗抹陽性(SSP)および陰性(SSN)患者数時系列データの時間変動構造を、最大エントロピー法に基づいたスペクトル解析を行ったところ、両国の結果は互いに異なるものであり、現在その理由を解析結果に基づいて詳細に調べているところである、2)日本と武漢市のSSP・SSN患者数時系列データについて、気象データ(気温、相対湿度、風速、日射量など)との相関を、時系列解析を用いて調査中である、3)日本のSSP・SSN患者数時系列データについては、47都道府県別のデータを用いて、流行の空間的伝搬について調べているところである、4)武漢市のSSP・SSN患者数時系列データについては、都市部と郊外における流行の周期構造が異なるという結果が得られ、現在その理由を詳細に調べていることころである、5)フィンランドの結核サーベイランスデータからSSP・SSN患者数時系列データを作成し、その時系列解析を行う準備が終わり、日本と武漢市のデータと同様の解析を行うところである、そして6)本時系列解析法をインフルエンザデータに適用したことによって得られた結果が、査読付英文学術誌に掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フィンランドにおけるCD4数およびCD8数の時系列データの収集が、新型コロナウイルス感染症対策によって中止となったため、北欧のデータの解析を行うことができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は次の3点を重点的に行う:1)報告者は本研究課題の事前調査として、感染症と気象変動の相関関係を調べる方法を構築するために、フィリピンのデング熱・レプトスピラ症患者数および3つの気象要因 (気温・雨量・相対湿度)の時系列データを用いて、両感染症の流行パターンが、モンスーンによる気象要因の一連の時間変化と関係があることを明らかにした。この方法を用いて日本・中国・フィンランドにおけるSSP・SSN流行変動と気象変動の相関関係を測定する、2)日本の47都道府県、中国・湖北省の12直轄市、遼寧省の14直轄市について流行の空間的伝搬について調べる、そして3)フィンランド・タンペレ大学医学部の協力を得て、正常ヒト血液を2~3年間を通して定期的に採取し、結核の病態を反映するマーカーとなりうるCD4数およびCD8数を測定する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症対策によって、当初予定していたフィンランドと中国への出張が中止となったために、旅費を使用しなかったため、「次年度使用額(B-A)」が「0」より大きくなった。2020年度の使用計画として、前年度に中止になったフィンランドへの出張を実施する予定である。中国への出張は来年度に実施する予定である。
|