研究課題/領域番号 |
19K10667
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
牟田 真理子 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 教授 (40445193)
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研究分担者 |
有賀 智之 東京都立駒込病院(臨床研究室), 乳腺外科, 医長 (60645282)
本田 弥生 東京都立駒込病院(臨床研究室), 乳腺外科, 医長 (10766497)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 乳がん / 化学療法 / 味覚障害 |
研究実績の概要 |
本研究はがん化学療法時の味覚障害の特徴を明らかにし、味覚障害に伴った栄養状態の変化や食習慣の変化をプロファイルし、化学療法時の栄養摂取状況を改善し、患者の予後やQOLの改善を目指している。 令和3年度は令和2年度に引き続き、研究同意を得られた原発性乳癌術前・術後化学療法を受ける患者の味覚検査、食事摂取頻度調査(BDHQシステム)と、栄養状態にかかわる生理生化学検査は対象患者のカルテより情報収集し、サンプル数を増やした。また現段階で収集しているサンプルデータの分析を行った。 抗がん剤別に分析を行っている途中であるが、サンプル数が多いdocetaxel+cyclophosphamide(TC)療法の分析の途中経過では、味覚変化人数が多かった「甘味が敏感になった群」「苦味が敏感になった群」「塩味が鈍感になった群」の3群について分析した。すべての群で血清アルブミン値の低下がみられたが、塩味が鈍感になった群は、甘味が敏感になった群、苦味が敏感になった群に比較して約2倍の血清アルブミン値の低下がみられた。血清アルブミン値の低下が大きい群は栄養摂取状況もエネルギー摂取量、たんぱく質摂取量の低下が大きかった。味覚変化と栄養摂取状況、栄養状態の関連が示唆された。この味覚変化は治療開始後の早い時期に現れ、治療終了後にはほぼ元の状態に戻り、血清アルブミン値も回復していた。味覚変化の特徴から栄養状態の予測の可能性が考えられる。 化学療法時の味覚障害の特徴を知ることによって、栄養状態低下予防のための食事提案につながっていくことが予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は令和2年度に引き続き新型コロナウイルス感染症のため、患者が診療を控えるなどサンプル数を増やすことに困難が生じた。予定よりもサンプルの収集が遅れていることが、やや遅れていると判断した理由である。研究期間を1年延長し、目的としているサンプル数まで達成したいと考えている。サンプル数が増えることにより、データの信頼性も増してくるので、対象患者の情報収集を続けている。サンプル数を増やしながら、現時点で集まっているデータを分析し、少しずつ研究成果をまとめている。
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今後の研究の推進方策 |
1.令和4年度は引き続き患者数の獲得を目指し、サンプル数を増やして分析結果の信頼性を高めていく。当初の予定のサンプル数60サンプルは達成しているものの、治療法別に分類して分析するには少ないので対象となる患者の獲得を目指したい。 2.味覚変化と栄養状態の関係が少しずつ明らかになってきたので、化学療法時に表れる味覚障害や栄養摂取状態の低下の実態を踏まえて化学療法時の食事について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症のため、対象患者が少なく検査用のキットや消耗品の購入が予定より少なかったために次年度使用額が生じた。令和4年度は研究期間延長を行ったため、次年度使用額を使って味覚検査キットの購入や食事調査費用、成果発表のための費用に使用することを計画している。
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