研究課題/領域番号 |
19K10671
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
桑原 恵介 帝京大学, 公私立大学の部局等, 講師 (70635226)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 生活習慣パターン / 糖尿病 / 一次予防 / 労働者 / 運動 / 肥満 / 睡眠 |
研究実績の概要 |
肥満や運動、睡眠といった個々の生活習慣が糖尿病を発症することと関係することはよく知られています。しかしながら、糖尿病になりにくい習慣をたくさん送っているほど糖尿病になりにくくなるのかはアジアではよくわかっていませんでした。そこで、2019年度は、日本で働いている成人男女を対象として、3年間の生活習慣パターンと糖尿病発症との関係について調べました調べました 対象者は職域多施設研究(J-ECOHスタディ)に参画する国内の大企業1社に勤務し、2009年度に定期健康診断を受診した約2万6千名の成人男女です。生活習慣パターンは、糖尿病になりにくいと考えられる5つの生活習慣(余暇に運動をする、たばこを吸わない、たくさんお酒を飲まない、充分な睡眠をとる、肥満ではない)について2006年度から2009年度の情報をもとにGroup-based trajectory modelingを使ってパターン化しました。糖尿病に罹ったかどうかは2017年度までの血糖値や病歴をもとに判定しました。 3年間の生活習慣について5パターンが抽出されました(継続して不健康な生活習慣、継続してやや健康的な生活習慣、継続して概ね健康的な生活習慣、概ね健康的な生活習慣から十分に健康的な生活習慣に改善、継続して十分に健康的な生活習慣)。これらのパターンと糖尿病発症との関係をみると、健康的な生活習慣パターンであるほど、糖尿病リスクは小さくなりました。年齢や性別、仕事関連要因などの影響を統計学的に調整して小さくしてもこの関係は変わらず、継続して不健康な生活習慣と比べて継続して十分に健康的な生活習慣では7割ほど糖尿病になるリスクが低くなることがわかりました。以上のことから、日本の働く男女において、より健康的な生活習慣を送るほど糖尿病になりにくくなることが確認されました。一つでも多く健康的な生活習慣を送ることができる環境を作っていくことが今後期待されます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年1月半ばまでは計画通りに進んでおり、2020年度の目的の一部であった生活習慣パターンと前糖尿病から2型糖尿病に悪化するリスクとの関係についての分析も終えていたが、2020年1月下旬以降から新型コロナウイルス感染症に関する活動・研究に時間を割いたため、成果の論文化が遅れている。また、2020年度に国際疫学会学術総会で成果の一部を報告予定であったが、中国に端を発する新型コロナウイルスの影響により学会が2021年度に延期となった。しかしながら、身体活動の肥満への影響を評価するための論文を国際学術誌に報告し、国内のメディア等で報道された。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は2019年度の成果を論文として報告するとともに、当初の2020年度の目的であった成果についても併せて論文化して報告することを目指す。2021年度は当初の計画通りに研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果の論文発表が遅れたため、次年度使用額が生じた。2020年度に論文発表を行い、使用予定である。
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