研究課題/領域番号 |
19K10682
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
船越 丈司 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40444715)
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研究分担者 |
上村 公一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30244586)
秋 利彦 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60304474)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | メタボロミクス / 細胞毒性 |
研究実績の概要 |
薬毒物による毒性機序の解明と毒性評価は法医実務上重要であるが、数多存在する薬毒物の内その毒性機序の詳細が明らかなものは少なく、また近年では危険ドラッグ成分など毒性が不明な薬物も多く存在するため、薬物の毒性および機序をより簡便に解析する手法の確立は法医学上急務となっている。そこで本研究ではターゲットメタボロミクスの手法により変動するシグナル経路を特定することで精度の高い薬物毒性機序の解析・毒性評価を行い、さらにノンターゲットメタボロミクスの手法により特殊な状況で産生される代謝物エピメタボライトを探索することで薬物毒性マーカーを特定する。最終的には細胞毒性機序解析に特化したメタボロミクス法を構築し、法医鑑定に有効な新規毒性解析法の確立を目的としている。 今年度は、これまで覚せい剤類を中心に行ってきたターゲットメタボローム解析を進めており、加えて抗てんかん薬の毒性データの解析も開始し、腎障害に関与するデータの解析も行いはじめ、違法薬物とは異なる傾向の薬物に関するデータの収集・解析にも着手している。特に抗てんかん薬による腎近位尿細管細胞毒性の研究においては、カルバマゼピンとその類似構造であるオクスカルバゼピンを比較したところ、顕著に細胞毒性に違いが見られることが明らかとなり、より詳細な代謝変動解析を進めている。またノンターゲットメタボローム解析にも着手しており、ノンターゲット解析による新規細胞障害マーカーの探索を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた、ターゲットに加えノンターゲット解析法を進めており、治療薬である抗てんかん薬、毒性を有するアルカロイドによる腎由来細胞をモデルに細胞毒性研究にも着手している。特に抗てんかん薬による腎近位尿細管細胞毒性の研究においては、カルバマゼピンとその類似構造であるオクスカルバゼピンを比較したところ顕著に細胞毒性に違いが見られることが明らかとなり、より詳細な検討を進めている。 一方で組織由来細胞間の違いの検討においては、神経細胞、腎近位尿細管、膵β細胞など対象組織の拡充を計画していたが、新型コロナ感染拡大の影響により、当初の研究計画の予定より若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の予定に沿って、今後薬物の拡充、対象組織由来細胞間の比較を進める一方で、GC-MS/MSにおいては当初予定していたノンターゲットでのエピメタボライト探索法の開発をすすめ、今後さらにターゲットメタボロームのデータ収集と同時に、ノンターゲットメタボロームのデータ収集に注力して進めていく予定である。 一方でGC-MS/MSだけでなく、今後LC-MS/MSでの解析法を確立し、これら機器間のデータ比較から、対象代謝物によって適宜使用機器を使い分けることを検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大による、研究活動の縮小などから、当初予定していたLC-MS/MS分析およびターゲット分析の確認に使用する予定であった試薬の購入費用を一部翌年に持ち越したことによる。 そのため、繰り越した費用に関しては、それら試薬の追加購入に使用する予定である。
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