最終年度においては、これまでに得られた結果を元にその再現性を確認すること及び足りない部分を捕捉することに注力し、論文としてまとめることを目標とした。これまでに引き続き、デュアルルシフェラーゼレポーターアッセイによるビリンプロモーター解析やSRF転写活性の測定とともに、リアルタイムPCRによるビリン発現定量解析を行い、siRNAを用いた転写因子SRFおよびその複合体因子の一つMRTFのノックダウンの影響を調べることで、肝臓胆汁鬱滞下においてリトコール酸によるアクチン結合タンパク質ビリンの発現調節機構を検討した、これまでの研究の中でビリンの発現にSRFおよびMRTFA/Bが強く関与することを示してきたが、肝臓胆汁鬱滞においては、リトコール酸の影響によりSRFそれ自身よりもMRTFA/Bの作用により、ビリン発現調節が行われていることが示唆された。また、この時MRTFAおよびMRTFBはそれぞれ異なる制御を示し、SRFとは異なる経路を介してビリン発現を調節しているものと推察された。しかしながら、本研究では具体的な経路の特定には至っておらず、今後の研究課題とした。また、SRFによるアクチン骨格制御機構が重要であると考えSRFの複合体としてMRTFに着目したが、既知の他因子については検討しておらず、この点についても今後の課題とした。
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