研究課題/領域番号 |
19K10686
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
藤本 秀子 鳥取大学, 医学部, 特任教員 (30722798)
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研究分担者 |
野間 久史 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (70633486)
飯野 守男 鳥取大学, 医学部, 教授 (80362466)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 金属アーチファクト低減ソフト / ランドマーク法 / 歯科自動鑑定 / 類似度 / 歯槽骨画像 / 個人識別 / 画像認識 / 人工知能 |
研究実績の概要 |
まず、ランドマーク数の効率性の検討のために、各ランドマーク数による評価を行った。その結果、ランドマーク数4個では、対象となる二つの画像間の類似度にばらつきがでる反面、類似度が高いという結果が出た。そこで、ランドマーク数4個でも類似度を判定できる可能性があるかもしれないと仮定し、ランドマーク数4個による検討を行った。歯槽が比較的少ないデータを対象資料とし、隣り合う歯槽のランドマーク数4個から、5歯槽間隔をあけた歯槽のランドマーク数4個までの類似度を算定した。その結果、ランドマーク数4個は、むしろ、除外した方が良い判定結果を得ることが判明した。 このことは、本法の適用症例の範囲を狭める結果となったが、ランドマーク数4個を除外することにより、効率化を図ることも期待できた。ランドマーク数6個以上で、本法により個人識別が可能であるということを示した。ランドマーク数4個しか確保できない口腔状態の個人識別は、それ自体が特徴を有するので、運用上は、問題がないと考える。 次に、ランドマークの自動描出を検討するために、歯科パノラマX線画像213枚の教師データを使用し、人工知能解析を行った。教師データは歯科医師の経験知により決定されたランドマークの座標である。人工知能データは、教師データと同じ座標を示さないものが散見された。原因は、金属アーチファクトによる画像の不鮮明さと、人工知能が点の自動描出を苦手とすることが考えられた。自動描出は、自動鑑定装置として、極めて重要な要素なので、この結果を踏まえて、現在検討を重ねている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
効率性を検討するために行ったランドマーク数の解析は、病院死亡例を除いた97画像の死体の画像を使用した。理由は、ランドマーク数が少ない症例を含むことと、運用時には、このような状況の死体が多いと考えたからである。ランドマーク数4個を除外し、6個以上で本方法(IDOL法)が成立する検討結果を得たので、新規性のある個人識別法として、特許を申請した。 人工知能を活用したランドマーク自動描出は、2019年3月末までに教師データを用いた解析を行ったが、良い結果が得られなかった。これは、研究計画当初予期できなかったことであった。今後は、教師データに使用する画像の改善のために、自動描出の障害となった金属アーチファクトの低減に注力し、低減後のデータを用いて、再検討する予定である。しかしながら、COVID-19 の影響により、直接面談による低減ソフトを用いたデータ解析の説明を受けることができず、予定通りの研究を進めることができていない。匿名化データの外部流出は不可能なので、Web会議では理論上の打ち合わせに終わっている。今後は、直接面談と打ち合わせの機会を得て、画像の鮮明化を図り、人工知能が活用できるかどうかを検討していく予定である。 さらなる検証のために、データを新たに350例増やし、合計2350例の倫理審査を通した。(2019年9月1日に追加申請された)教師データ数の増加を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、金属アーチファクト低減ソフトを活用し、画像の鮮明度を向上させたDICOMデータを3D解析ワークステーション(2019年9月27日に購入した)に移し、パノラマ再構成画像を作る。教師データを増やし、人工知能により認識できるかどうかを検討する。 ランドマークの自動描出の可能性については、新たに画像解析の専門家と人工知能解析の専門家から助言を受ける予定である。その際、匿名化データの外部流出を防ぐ目的で、直接、専門家の所属する外部機関へ赴く必要があり、出張などが増えると考えられる。 もし、その課題の克服が困難な場合には、本方法の補助方法として、人工知能が得意とする形状認識に切り替え、歯槽骨画像の形状比較による検討も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、国際学会発表及び、各専門家訪問が中止になり、旅費及び謝金の支払いが少なくなった。今年度は、まず、各方面の各専門家訪問及び国際学会の参加発表を行う予定である。
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