研究課題/領域番号 |
19K10698
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
松末 綾 福岡大学, 医学部, 講師 (70309920)
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研究分担者 |
久保 真一 福岡大学, 医学部, 教授 (10205122)
石川 隆紀 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (50381984)
原 健二 福岡大学, 医学部, 講師 (00090738)
柏木 正之 福岡大学, 医学部, 准教授 (70301687)
ウォーターズ ブライアン 福岡大学, 医学部, 助教 (00609480)
高山 みお 福岡大学, 医学部, 助教 (40804802) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 覚醒剤 / 遺伝子多型 / 遺伝子発現 / 剖検例 |
研究実績の概要 |
法医剖検例の右心房内血液、左心房内血液、外腸骨動脈血液、尿、心膜液、骨髄について、メタンフェタミン並びにアンフェタミン濃度を測定した。メタンフェタミンは、cytochrome P450 2D6 (CYP2D6) によりアンフェタミンやp-ヒドロキシメタンフェタミンに代謝される。CYP2D6には活性に影響を与える遺伝子多型が存在することから、CYP2D6遺伝子多型と体液中メタンフェタミン濃度、アンフェタミン濃度、代謝比(メタンフェタミン濃度/アンフェタミン濃度)との関連を検討した。CYP2D6遺伝子多型は、日本人に認められるCYP2D6*1、 *2、 *4、 *5、 *10、 *14A、 *14B、 *18、 *36、 multiplicationを調べ、代謝能を正常型(Extensive metabolizer:EM)、低下型(Intermediate metabolizer:IM) 、欠損型(Poor metabolizer:PM)、亢進型(Ultrarapid metabolizer:UM)に分類した。その結果、今回調べた症例にPMは認められず、UMも少数であった。覚醒剤検出例と覚醒剤非検出例の間で表現型の頻度に有意差は認められなかった。メタンフェタミン濃度は、全体的にIMのほうがEMよりも高い値を示した。特に、尿と骨髄で有意差を認めた。アンフェタミン濃度と代謝比は、いずれの体液でも有意差は認められなかった。今回の結果より、CYP2D6の遺伝子多型が、覚醒剤検出例の体液中メタンフェタミン濃度に影響を与える可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
法医剖検例について、覚醒剤の毒性に関与している遺伝子の多型をいくつか解析し、その影響を調べた。しかし、まだ一部の遺伝子の検査にとどまっているため、今後、より多くの関連遺伝子を調べる必要性がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、覚醒剤摂取症例ならびに薬毒物非検出症例について、覚醒剤の毒性に関与しているより多くの遺伝子の多型解析を行い、その影響を考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はウエスタンブロッティングを行う予定であったが、多型解析を優先し、ウエスタンブロッティングを次年度行うことに変更したため、必要な経費が当初見積りより少なくなった。
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