研究課題/領域番号 |
19K10700
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
桑山 健次 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (40356233)
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研究分担者 |
宮口 一 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (10370884)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 毛髪 / 睡眠薬 / 質量分析 |
研究実績の概要 |
睡眠薬を悪用した犯罪は後を絶たないが、1回しか摂取していない睡眠薬を、数日後に採取された生体試料から検出することは現状では極めて困難である。本研究では、睡眠薬の摂取から数か月~数年後に採取された数本の毛髪や数日後に採取された尿から睡眠薬成分を確実に検出する方法を開発する。毛髪では、本研究代表者が開発した1本の毛髪を0.4 mm間隔に断片化するマイクロ分画分析を用いて、数か月~数年前に摂取した睡眠薬の毛髪内の存在部位を特定するとともに、毛髪の成長速度をもとにその摂取日を特定する。尿では、1回の排泄量の大部分(100 mL以上)を使用し、複数の薬物抽出技術(分散固相、液相マイクロ等)を連結し、高度に濃縮・精製された睡眠薬成分の抽出物を得る。本法により、毛髪と尿の両面での睡眠薬検出の可能性を高め、検出期間を拡大させるとともに、従来不可能であった摂取日(事件日)を特定し、睡眠薬悪用犯罪の証明力を強化する。 令和2年度は、睡眠薬ミダゾラムを単回投与された患者の毛髪を入手したので、マイクロ分画分析によるミダゾラムの検出を試みた。毛髪内の特定の領域からミダゾラム関連イオンが検出されたが、微量であったため、標品と一致するマススペクトルは得られなかった。そこで、毛髪3本についてマイクロ分画分析を行い、各毛髪の薬物検出領域に相当する抽出物残渣を1つにまとめ、固相抽出により濃縮した後、液体クロマトグラフ/質量分析計に注入したところ、標品と一致するマススペクトルが得られた。 毛髪中の薬物含有量が少ないために同定が困難な場合であっても、複数本の毛髪についてマイクロ分画分析を行い、各毛髪内の薬物存在領域のみを選択的に回収して濃縮することで、薬物を確実に同定することが可能となった。本法をマイクロ分画分析による選択的濃縮法と命名した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、マイクロ分画分析を用いて毛髪中の微量の睡眠薬を検出する方法を開発できたため。
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今後の研究の推進方策 |
尿について、100 mL以上の大量尿の濃縮方法や効率的な薬物抽出法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会等の現地開催中止により、旅費を使用しなかったため。 次年度、不足した試薬や器具、所有していない薬物標準品等を購入する。
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