研究課題/領域番号 |
19K10702
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
金森 達之 科学警察研究所, 附属鑑定所, 鑑定官 (40356192)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | オピオイド / オピオイド受容体 / アゴニスト活性 |
研究実績の概要 |
本研究は、新たに出現するオピオイド薬物及びその代謝物の薬理活性について明らかにすることを目的とする。本年度は、薬理活性の測定を行うためのキットの選定及び具体的な実験条件の検討を行った。 まず、キットについては、予算内で実行可能なこと、及び現在有している備品・実験手技で実行可能なことを考慮し、決定した。具体的な実験方法については、薬物の希釈方法(希釈に用いる溶液の種類、マイクロプレートの素材)、薬理活性測定に用いるプレートの種類(通常サイズの96ウェル白色マイクロプレートもしくはハーフサイズ96ウェル白色マイクロプレート)、データの解析方法(有効濃度を算出するための回帰式の選定、用いるソフトウェアの選定)等について検討を行った。薬物希釈方法については、ポリプロピレン製マイクロプレートを用いて、いくつかの薬物について緩衝液で希釈し、吸着等がないか検討したところ、問題なく希釈できることが判明した。プレートの種類については、実際にいくつかの薬物をピックアップして薬理活性測定を行ったところ、ハーフサイズマイクロプレートを用いても、通常サイズのものと同等の結果が得られ、これにより同量の試薬でより多くの薬物について試験を行うことができるようになった。データ解析については、マイクロソフトエクセルを用いた4パラメータロジスティック回帰分析により、有効濃度を算出可能であった。 以上のとおり、本年度で具体的な実験手順が概ね確定したことから、次年度より、順次オピオイド薬物及びその代謝物の薬理活性測定を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、オピオイドの薬理活性測定について、具体的な実験方法を確定するところまでを目標としていたので、概ね目標を達成できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、最近欧米を中心に次々と新種の化合物が出現し、大きな問題となっているフェンタニル系のオピオイド薬物について、N-アシル基の種類が異なるもの、及びN-フェニル基にフッ素が結合したもの(オルト、メタ、パラ位)を合成し、それらのオピオイド受容体に対するアゴニスト活性を測定し、構造活性相関を明らかにする。 続いて、オピオイド薬物の代謝物の薬理活性測定のため、いくつかの代謝物の化学合成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、試薬等にかかる経費が予想よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。 次年度は、オピオイド薬物の薬理活性測定を本格的に開始し、試薬を大量に消費することから、物品費の支出が多くなる見込みである。
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