研究課題/領域番号 |
19K10705
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
小山内 暢 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (40514138)
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研究分担者 |
工藤 幸清 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (10214967)
北島 麻衣子 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (70455731)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 放射線防護 / 水晶体被ばく / 職業被ばく / 放射線看護 / 規制科学 |
研究実績の概要 |
研究実績のひとつは、CT検査における介助時の医療従事者の職業被ばく線量に関する検討をファントム実験にて行ったことである。水晶体線量の把握に加え、3 mm 線量当量管理の必要性の検討を念頭に置き、水晶体線量と体幹部用個人線量計による測定値の関係を検証した。CT検査における介助時の職業被ばく線量は、血管造影検査と比較しても決して少なくはなく、撮影部位や従事状況によっては新たな水晶体の線量限度を超過する可能性があった。また、水晶体線量と体幹部用個人線量計の値に顕著な違いなく(放射線防護眼鏡なしの場合)、体幹部用個人線量計によって水晶体線量が推定可能であることが示唆された。CT検査室内の散乱線分布は複雑であるが、CT検査での介助における職業被ばくに関する知見は少なかったため、意義のある結果が得られたと考える。 さらに、体幹部用個人線量計とX線遮蔽体を用いることによって放射線防護眼鏡装着時の水晶体線量を簡易に推定する方法を考案し、IVRにおける散乱線場を再現してファントム実験によりその実施可能性を基礎的に検証した。X線遮蔽体によって放射線防護眼鏡による散乱線の減弱を模擬することが可能であり、X線遮蔽体内の体幹部用個人線量計の値と放射線防護眼鏡内の水晶体線量は同等であったことから、体幹部用個人線量計をX線遮蔽体で覆うことにより、放射線防護眼鏡装着時の水晶体線量を簡易に推定可能であると示唆された。併せて、放射線防護眼鏡の基礎特性の検証も行った。X線エネルギーごとの放射線防護眼鏡の遮へい効果の検証だけではなく、放射線防護眼鏡に含まれる天然放射性核種(Pb-210)の影響も調査した。市販の放射線防護眼鏡には明らかにPb-210が含まれているものもあり、主としてβ線の放出が認められたが、放射線防護眼鏡の散乱線低減効果を踏まえると、Pb-210の水晶体に対する影響は十分に小さいことが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね計画どおりに進捗しており、論文投稿や学会発表も積極的に行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、まず、CT検査における介助従事状況に関する実態調査を行い、前年度に行った線量測定結果と併せて、知見の少ないCT検査における職業被ばく線量を総合的に評価する予定である。 さらには、より適切な防護方策を探索するために、個人線量計や放射線防護具の使用方法の最適化に関する検討も行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
気象条件により予定していた学術集会に参加できず次年度使用額が生じた。また、次年度に実施するCT検査における介助業務への従事状況の実態調査を大きな規模で行うため、予算を繰り越すこととした。これらの予算を使用し、次年度は、より精緻な研究を遂行する予定である。
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