研究課題/領域番号 |
19K10707
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
西本 裕 岐阜大学, 医学部, 教授 (20208234)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 温冷交代浴 / 自律神経応答 / 心拍変動解析 / 皮膚温 / 末梢血管 |
研究実績の概要 |
複合性局所疼痛症候群(CRPS)に対する温冷交代浴の効果を実証し、最適な温度調整法を提唱するために、温度変換に伴う自律神経活動、皮膚温、皮膚末梢血流の測定を試みた。心拍変動解析による分析は、約3分以上かかるのが通常であるが、起立性低血圧を対象とした解析には超早期の変動が解析されていることから、その手法を取り入れる予定であった。しかし60歳代の被験者(研究者本人)の反応は、3-5分でもほとんど変化を認めなかった。これは対象者の年齢(自律神経活動の不活発)の影響があるとも考えられ、さらに広範な年齢層(特に若年者)における測定が必要と考えられた。 自律神経系の反応として、心拍変動解析(全身的反応)だけでなく、局所の血流とそれに伴う皮膚温の反応を把握すべく、手の温水、冷水への浸漬時の皮膚毛細血管の形態機能と表面温度の測定を行うこととし、その測定方法について確認した。 導入した毛細血管観察機器が、手指爪の基部の毛細血管を対象としていること、複合性局所疼痛症候群(CRPS)の主症状が手指尖であることから、手指末節背側に熱電対を設置することとした。その上で、母指球、指腹への設置の場合と比較し浸漬水温度変化への反応を観察した。 また熱電対固定のテープを、不織布テープ、和紙テープ、洋紙(ホワイトテープ)で比較し、周囲水温の影響を遮断するためのカバー(発泡スチロール片)の有無による温度変化を測定し、カバーの必要性、テープの選択の不必要を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の皮膚血流測定予定機器の代替機を1月に導入したが、その扱いに時間を要し、実際に測定を開始したのは2月、解析は3月になった。 新型コロナウイルス感染症対応で出回らなくなった機器もあり、収集データの一部(鼓膜温による深部体温測定)を割愛することになった。 2年目に入り、健常者を対象として、データ収集する研究計画書を当院の倫理委員会に申請予定であったが、感染対策をした上での対象者募集、計測を行うことについて、修正を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
2年目で健常者の反応の測定、3年目で分析、条件設定の変更を企画していたが、新型コロナウイルス感染症が収束しない場合、対象者が集まらない可能性を考えて、代替実験を構築することを検討している。 研究施設への来所を求めにくい場合、外部スポーツジム等商業施設、健康施設、医療機関などでの対象者募集を検討する。 機器、水槽を含めた対象者の感染対策をとりつつ実施するため、被験者数を増やせない場合、水温変化についてクロスオーバー法などにより、複数の状況のデータを収集することを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
血流量測定機器は当初の備品を調達できず、代替機にて対応した。低額で調達でき、恒温槽の準備をすることができたが、それら設定試験には手間がかり遅れている。謝礼は発生せず、ホームページ作成も令和2年度に作成予定である。 一部の消耗品も使用段階に入らず、今後購入が必要となる。
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