従来、CRPSに対する温冷交代浴時の温度は定まらず、その機序は自律神経活動に関わることが推測されていたが、詳細不明である。今回心拍変動による自律神経活動は手の温冷交代浴の経過中有意な変化を認めることはなかったことから、体循環に影響を及ぼすことなく、細動脈レベルでの血管の収縮弛緩が影響していると推察される。また、温浴時の血流速度の測定から、単に温める時には血流が減少するのに対し、同じ温度でも冷浴後には血流速度の上昇を確認でき、温度の変化が交感神経に影響を与える可能性が示唆された。 CRPSに対する効果に対する懐疑的視点に対し、より客観的で臨床に即した有効な治療法の提示につながると期待される。
|