看護管理者が効果的に役割を発揮するには、組織管理に必要な情報の取得と継続学習が不可欠であるにも関わらず、看護管理者の学習機会は多いとはいえない。また、物理的距離が大きい地域における継続学習には困難があること、病院規模によって学習機会に差が生じることが分かっており、看護管理者の継続学習支援の方法を構築することには意義がある。 物理的距離が大きな地域における看護管理者の継続学習の実態とニーズを明らかにすることを目的に、2019年度に北海道道央圏外の看護管理者23名を対象に継続学習やネットワークに関するインタビューを行った。その結果、北海道という広大な地域において、札幌市を中心とする研修開催だけでは看護管理者の継続学習の環境としては不十分であることが明らかになった。移動にかかる時間や費用を軽減できるだけでなく、地域の看護管理者間のネットワーク構築の一助となる地元開催型の研修が有効だとの示唆を得た。また、病院では次世代を担う看護師長への学習機会拡大が望まれていること、学習内容としては現場における実践力の向上、問題解決力の向上が求められていることを受け、看護師長の問題解決力を向上させる学習プログラム構築に着手した。2020年度に看護師長の問題解決の概念分析を行い、その構造と特徴を明らかにした。2021年度に学習プログラムの内容を決定した。学習プログラムは経験学習理論をベースに、臨床現場の事例を題材にすること、リフレクションの期間を意図的にとることとした。また、多忙な看護師長が自身のペースで学習を進めることを可能にすることやcovid-19感染拡大の影響を考慮し、学習プログラムはオンライン上に構築した。2022年度は北海道内の300床未満の中小規模病院に勤務する、昇任初期の看護師長を対象に学習プログラムを実施し、評価を行った。
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