研究課題/領域番号 |
19K10711
|
研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
石原 美和 神奈川県立保健福祉大学, 実践教育センター, センター長 (10803976)
|
研究分担者 |
巴山 玉蓮 群馬医療福祉大学, 看護学部, 教授 (00389975)
津野 陽子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (50584009)
伊藤 沙紀子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 特任助教 (80734152) [辞退]
柴山 志穂美 神奈川県立保健福祉大学, 実践教育センター, 准教授 (90636565)
松永 早苗 神奈川県立保健福祉大学, 実践教育センター, 准教授 (30614581)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 訪問看護 / 療養通所介護 / 在宅医療 / 地域共生 / 看護管理 / 障害児 / 制度評価 |
研究実績の概要 |
地域共生社会に向けて、看護職には、全世代への対応が期待されているが、訪問看護ステーションに従事する看護職は就業者の3%以下で伸び悩んでいる。しかしながら、地域での事業所開設や運営は報酬改定で厳しいという声があげられ、看護職が開設する事業所数は横ばいとなっている。看護職が地域で効果効率的に活動するために、看護事業所に関する規制や経済的評価を検証する必要があると考える。 本研究では、施設基準や、報酬算定要件等で、看護職が管理者と定められている事業所を「看護事業所」とする。看護職の管理のもと、事業所における感染・安全管理などの質が担保された事業所であり、本研究の定義に基づく看護事業所は、助産所、訪問看護ステーション、療養通所介護事業所の3つのみである。 本研究の目的は、看護事業所の設置法令、施設基準、運営基準、報酬等について、医療・介護・福祉制度間、類似事業所との比較等により、制度上の整合を検証することである。 昨年度までに助産所、訪問看護ステーション、療養通所介護事業所の3つに関して、設置法令、報酬、基準等について整理し、公的保険財源からの給付の有無、医師の指示等について整理した。特に、制度改正が多く行われている介護保険における療養通所介護事業所について、制度の変遷を整理し、看護事業所以外の類似の事業所との収益シミュレーションに関する比較を行い、無資格者でも開設できる類似の通所介護事業の収益の方が大きいという結果が得られた。次に、地域包括ケアシステム構築の主体である市町村を単位として、訪問看護ステーションと療養通所介護事業所の分布と、関連する在宅医療推進施設の整備状況等の関連について分析をすすめた。看護事業所の普及に影響する要因について、療養通所介護事業所については、閉所した事業所に対しフォローアップ調査を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
〇一昨年度、わが国の医療、介護、福祉制度における看護事業所(助産所、訪問看護ステーションと療養通所介護事業所)について、それぞれの設置法、報酬、医師の位置づけ等について整理検討を行い、特に療養通所介護事業所について、類似の通所介護事業所(無資格者でも管理を担える事業所)との収益シミュレーションを行った。 〇昨年度、地域包括ケアシステム構築の主体である市町村単位で、訪問看護ステーションと療養介護通所の分布と関連する在宅医療推進施設の整備状況等の関連について分析し、看護事業所の普及に影響する要因について調査した。コロナの影響で進捗に遅れが生じているものの、療養通所介護事業所については閉所した事業所へのフォローアップ調査を完了している。 〇令和3年度までに神奈川県公衆衛生学会、在宅看護学会、看護科学学会にて研究結果を部分的に、それぞれの学会にて口頭で発表を行った。令和4年度、日本在宅医療連合学会誌、日本地域政策研究学会誌への論文投稿を予定している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については、看護事業所の制度上の比較表の精緻化、他医療職種や無資格者が開設する類似事業所との公的保険制度上の報酬の比較、この2点を重点的に行う。また、コロナ禍での研究活動が限定的にならざるを得ない部分については、代替として、地域における看護事業所運営の推進となる政策提言を行えるよう、その根拠となる研究成果となるように進捗させたい。昨年度すでに笹川保健財団とオンラインによる研究会議を開催、訪問看護ステーションの現状について、意見を交換した。今年度も引き続き、看護事業所における診療報酬や介護報酬への見直しに反映できるよう、意見交換を進めていきたい。 また年度内に研究結果に関する論文を日本在宅医療連合学会誌、日本地域政策研究学会誌へ投稿予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症により、進捗状況が遅れているため。 使用計画としては、論文作成や研究を補助する人件費・謝金などが半分以上を占める予定。その他随時必要になる物品費や研究につながる学会参加費などになる見込み。
|