研究課題/領域番号 |
19K10736
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
八代 利香 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50305851)
|
研究分担者 |
山口 さおり 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (10404477)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 離島・へき地 / 看護師 / 継続教育 / 人材育成 / 地域包括ケア / アドバンス・ケア・プランニング |
研究実績の概要 |
継続教育のために必要な研修の機会が限られる離島・へき地で就労する看護師に対し、系統的な学習プログラムを作成するために、2019年度は、鹿児島県十島村を対象として、行政、関係団体、医療機関、教育機関の管理者や関係者が賛同し、へき地診療所看護師の継続教育支援ネットワークを構築した。また、住民支援としてアドバンス・ケア・プランニングの推進に向け、「人生会議」を開催し、地域全世帯を対象とした地域包括ケアの推進に着手した。 まず、診療所における看護業務基準・手順をつくる必要性について共通認識し、診療所の理念、業務マニュアルの作成に取りかかった。また、人材育成に向けたキャッチフレーズを「住民と共に生きるアイランドファミリーナース」とし、地域包括ケアを推進する十島村診療所看護師について、広く社会に共有してもらうために、パンフレットを作成して協力を呼びかけた。結果として、研修先の確保、研修時の代替看護師の派遣、講師派遣等の役割を関係機関が担うことにより、看護の質向上につながる人材確保や支援体制を強化できた。また、関係機関と連携することにより、共に育ち、共に学ぶという組織の関係性が生まれるとともに、相互の理解が深まり、より連携しやすい体制の構築を目指すことができた。 11月には、十島村の1つの島で、住民を対象とした「人生会議」を開催し、20名の参加を得た。終了後の調査では、「とても、よかった」「よかった」が多く、内容については「語り合い」がよかったとの評価であり、今後の離島・へき地におけるアドバンス・ケア・プランニングの推進につながる結果を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、へき地診療所看護師の継続教育支援ネットワークを構築することができたことは、当初の計画以上の進展であったが、住民支援としての「人生会議」を予定通り行うことができなかった。計画では、複数の離島で「人生会議」を行うことにしていたが、天候不良によりフェリーが欠航になった他、3月には新型コロナウィルス感染症蔓延により離島を訪問することを断念せざるを得ず、1つの島でしか行うことができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
継続教育のために必要な研修の機会が限られる離島・へき地で就労する看護師に対し、系統的な学習プログラムを作成するためには、業務マニュアルおよび看護実践の記録としての診療録記録マニュアルの標準化を図る必要がある。また、へき地診療所におけるクリニカルラダーの開発や、ラダー認定委員会の設置が求められる。2020年度は、業務マニュアルと診療録記録マニュアルの標準化を図るとともに、へき地診療所看護師の地域包括ケアを推進するために、住民を対象とした「人生会議」を他の6島で開催する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
悪天候のため離島行きのフェリーが欠航になったこと、また3月には新型コロナウィルス感染症蔓延のため、離島を訪問することができなかったことにより、当初計画に遅れが生じている。新型コロナウィルス感染症の終息後速やかに離島での調査を再開し、計画の遅れを取り戻す予定である。 今年度は、昨年度に引き続き、5つの無医島で人生会議を開催し、離島住民のアドバンス・ケア・プランニング推進のためには何が求められているのかを調査する。また、看護師の看取りに関する学習プログラムの原案作成に向けて、無医島のへき地診療所の看護師を対象に看取りケア能力や研修のあり方についてヒアリング調査の準備を行うとともに、海外における看護師による死亡確認について資料収集を行う。
|