研究課題/領域番号 |
19K10736
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
八代 利香 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50305851)
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研究分担者 |
山口 さおり 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (10404477)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 離島・へき地 / 看護師 / 継続教育 / 人材育成 / 地域包括ケア / アドバンス・ケア・プランニング / 新型コロナウィルス感染症 |
研究実績の概要 |
2020年度は、十島村の6島における住民を対象とした「人生会議」を開催し、アドバンス・ケア・プランニング推進のためのニーズ調査を計画していたが、新型コロナウィルス感染症の影響で来島が制限されたことから、「人生会議」の開催および調査を実施することができなかった。 2019年度に構築されたへき地診療所看護師の継続教育支援ネットワーク「住民と共に生きるアイランドファミリーナース」の会議は、各島をWebでつなぎ鹿児島市内で11月に開催された。各島のへき地診療所看護師の業務マニュアルの作成と、「人生会議」の開催可能性について協議され、Webでの「人生会議」の開催が検討されるなど今後の示唆を得ることができた。また、十島村のへき地診療所の2名の看護師がICTを活用した死亡診断の資格を取得し、三島村のへき地診療所の看護師の1名がICTを活用した死亡診断の受講に至ったことは、活動の成果であった。 当初の計画にはなかったが、離島住民の新型コロナウィルス感染症対策は喫緊の課題であり、緊急的な調査の必要性が生じた。人的・物的・医療的に脆弱な離島で新型コロナウィルス感染症が蔓延した場合、島が消滅してしまうほどの壊滅的な打撃を受ける恐れがある。離島住民の感染症対策の資料とし、感染症患者の看取りのあり方についても検討するため、全島が新型コロナウィルス感染症のクラスターと認定された与論島において、看護師6名、保健師4名へのインタビュー調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症蔓延により、十島村への来島が制限されたことにより、当初予定していた研究を進めることができなかった。しかし、離島住民の健康を守るための感染症対策として、新型コロナウィルス感染症をテーマとした研究に一部切り替え、離島での感染症患者の看取りのあり方について検討した。
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今後の研究の推進方策 |
十島村では4月27日と28日に全住民に新型コロナウィルスワクチンの1回目の接種が終了し、5月には2回目の接種が予定されている。新型コロナウィルス感染症が終息し、来島制限がなくなれば、残る6島で住民を対象とした「人生会議」を開催する。そして、地域包括ケアを推進するための研究を進めるとともに、へき地診療所看護師の業務マニュアルと診療録記録マニュアルの標準化を図る。 また、離島での感染症対策と感染症患者の看取りのあり方に関する研究についても同時に進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響で、調査対象としていた離島への往来が制限されたことにより、当初の計画通りの研究を進めることができなかった。新型コロナウィルス感染症の終息後速やかに離島での調査を再開し、計画の遅れを取り戻したい。 今年度は、5つの無医島で人生会議を再開し、離島住民のアドバンス・ケア・プランニング推進のためには何が求められているのかを調査する。また、看護師の看取りに関する学習プログラムの原案作成に向けて、無医島のへき地診療所の看護師を対象とした看取りケア能力や研修のあり方についてヒアリング調査の準備を行う。 昨年に引き続き、離島住民の感染症対策の資料とし、感染症患者の看取りのあり方についても検討するため、全島が新型コロナウィルス感染症のクラスターと認定された与論島において、住民を対象とした調査を実施する。 調査が持ち越されたことにより、次年度調査のための離島への旅費、および人生会議開催のための講師への謝礼や消耗品等の経費が必要となる。
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