研究課題/領域番号 |
19K10736
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
八代 利香 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50305851)
|
研究分担者 |
山口 さおり 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (10404477)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 離島・へき地 / 看護師 / 継続教育 / 人材育成 / 地域包括ケア / アドバンス・ケア・プランニング / 新型コロナウィルス感染症 |
研究実績の概要 |
2022年度は、2020年度および2021年度に引き続き、研究対象としていた外洋小離島への訪問が新型コロナウィルス感染症の影響で制限されたことから、計画していた離島住民を対象とした「人生会議」の実施と、それに伴う調査を行うことができなかった。しかし、へき地診療所で働く看護職8名を対象に、無医島に居住する慢性疾患患者に対する看護師の支援と葛藤について、オンラインにて聞き取り調査を行った。 2019年度に構築されたへき地診療所看護師の継続教育支援ネットワークの会議は、各島をWebでつなぎ、鹿児島市内で2023年3月22日に開催された。2019年度からへき地診療所の看護師を2名体制としたことで、師長会が設立されるなど、各島が連携したヘルスケアの組織化が進んでいる。各へき地診療所で作成されてきた業務マニュアルは、「看護基準マニュアル」として標準化することになった。また、師長会設立に関する課題、診療所目標の設定、住民支援と人材派遣の取組について報告され、検討を行った。 離島において喫緊の課題となった新型コロナウィルス感染症対策については、2020年度から調査を開始し、2021年度は、全島が新型コロナウィルス感染症のクラスターと認定された離島の保健師を対象とした調査をまとめ学会誌に投稿し、掲載された。また、2021年度に当該離島において、新型コロナウィルス感染症に罹患した経験を持つ住民7名を対象に行った9項目からなるインタビュー調査については、海外誌への投稿に向けて、現在執筆中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症蔓延により、研究対象としている外洋小離島への来島が制限されたことにより、予定していた研究を進めることができなかった。しかし、へき地診療所看護師の継続教育支援ネットワーク「住民と共に生きるアイランドファミリーナース」のメンバーとして、離島の看護師の継続教育支援に取り組んだ。また、へき地診療所で働く看護職を対象として、オンライン調査を実施することができた。 離島住民の健康を守るための感染症対策として、新型コロナウィルス感染症をテーマとした研究に一部切り替え、離島ならではの現状と保健師の経験について、学会誌に論文を掲載することができた。また、当該離島において感染を経験した住民の思いについて、調査結果をまとめ、論文を執筆中である。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の感染法上の位置づけが5類に引き下げられることに伴い、来島制限および来島時のPCR検査が必要なくなり、残る6島で住民を対象とした「人生会議」を開催できるものと考える。そして、地域包括ケアを推進するための、住民を対象とした研究を進めるとともに、へき地診療所看護師の看護基準マニュアルと診療記録マニュアルの標準化を図る。へき地診療所の診療記録については、DX化を検討する。 2021年度に行った離島住民を対象とした新型コロナウィルス感染症に関する論文を仕上げ、海外ジャーナルに投稿する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、新型コロナウィルス感染症蔓延により、研究対象としている外洋小離島への来島が制限されたことにより、予定していた研究を進めることができなかった。 2023年度は、新型コロナウィルス感染症の感染法上の位置づけが5類に引き下げられることから、来島制限および来島時のPCR検査が必要なくなり、残る6島で住民を対象とした調査が再開できるものと考える。離島への旅費、印刷費、専門家への謝金、会議費、通信費等の使用を計画している。
|