研究課題/領域番号 |
19K10737
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
大関 裕子 (北島裕子) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (40635760)
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研究分担者 |
鈴木 英子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (20299879)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 看護師 / 勤務帯リーダー / リーダーシップ / 評価尺度 / 尺度開発 |
研究実績の概要 |
スタッフナースが担当する勤務帯リーダーに関する研究報告は少なく、勤務帯リーダーのリーダーシップを促進する要因が明らかになっていない状況がある。また既存尺度は、現在の尺度開発基準を満たしていない課題があった。本研究の目的は、勤務帯リーダーのリーダーシップ行動を評価できる「看護師の勤務帯リーダーシップ評価尺度」を開発することである。 尺度開発プロセスとして、自由記述式質問紙データと文献に基づき、37項目からなる看護師の勤務帯リーダーシップ評価尺度原案を作成した。首都圏の6大学病院に勤務する勤務帯リーダーを担当する看護師631名を対象にテスト‐再テスト法を用いた無記名自記式質問紙調査を実施し、信頼性・妥当性を検証した。看護師の勤務帯リーダーシップ評価尺度原案の総合得点平均値に性別による有意差が認められ、解析対象者は、常勤女性看護師336名とした。項目分析および探索的因子分析を実施した結果、6因子25項目の尺度となった。第1因子「業務調整行動」第2因子「人間関係構築行動」第3因子「情報伝達による連携行動」第4因子「看護実践遂行状況の確認行動」第5因子「チームでの情報共有行動」第6因子「看護実践力育成行動」と命名した。確証的因子分析によるモデルの適合度はGFI=.880 AGFI=.850 RMSEA=.053であった。本開発尺度と「勤務帯リーダー役割自己評価尺度」との間に正の相関を認め、基準関連妥当性を確認した。尺度全体のクロンバックα信頼係数は、.94、テスト‐再テスト法による級内相関係数は.884であった。本開発尺度である「看護師の勤務帯リーダーシップ評価尺度」の各種指標値は、許容範囲内であり信頼性・妥当性は検証された。また、2019度中に開発尺度を用いて縦断研究を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の目的は、看護師の勤務帯リーダーシップ評価尺度を開発し、開発尺度を用いて縦断研究を行い、勤務帯リーダーのリーダーシップへの影響要因を明らかにすることである。研究計画として研究1~3を予定していた。 研究1:勤務帯リーダーのリーダーシップ行動を明らかにする質的研究 研究2:看護師の勤務帯リーダーシップ評価尺度の開発および信頼性・妥当性の検証 研究3:看護師の勤務帯リーダーのリーダーシップへの影響要因分析 2019年度は、研究1,2を計画していたものの順調に調査・解析を行うことができ、研究3縦断研究まで実施することができた。重回帰分析や共分散構造分析を2020年度に行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
開発尺度を用いて縦断研究を実施し、ベースライン調査、コホート追跡調査が終了した。今後は、重回帰分析・共分散構造分析を行って、看護師の勤務帯リーダーのリーダーシップへの影響要因を明らかにするとともに、プログラム開発を試みる。学会発表・論文作成を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画が予想以上に進展し、資金不足を補うため前倒し支払い請求を行った。縦断研究を行ったが、当初配布予定の質問紙の実数が減少したことと、コロナウイルスの影響で調査が不可能となった施設があった。そのため印刷や送料、データ入力費用等のための資金に余剰が生じたため。 次年度以降、統計ソフトの購入や学会発表旅費などに使用していく計画である。
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