研究課題/領域番号 |
19K10739
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
石垣 恭子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (20253619)
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研究分担者 |
高見 美樹 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (10335565)
宇都 由美子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50223582)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 統計分析 / 対面教育 / 双方向型教育 / オンデマンド教育 / 個別対応 / 遠隔研修 |
研究実績の概要 |
2019年度に看護師に行った研修の評価では、統計分析、特に仮説検定の理解度が、他項目より比較的低い結果となった。しかし、2020、2021年度は看護師への対面での研修が困難となった。そこで、看護学生に対して看護師に行う研修と同様の資料を用いて、2019年度は対面方式、2020、2021年度は、コロナ感染症拡大のため、学生の受講環境を考慮して、同時双方向方式ではなくオンデマンド方式で、統計分析の部分のみ授業を行った。講義資料は、2019年度は授業開始時に配布し、2020、2021年度では予め学生各自へ郵送等で配布し、手元で確認しながら講義動画を視聴できる環境を整備した。課題提出の正答率は、χ二乗検定において四分割表の記述、2019年度94%、2020年度84.2%、2021年度89.7%、期待値の計算、2019年度78.6%、2020年度42.1%、2021年度78.2%、χ二乗計算式が2019年度66.6%、2020年度36.8%、2021年度67.8%で、2019年度に比較して2020年度の方がこれらの項目等で正答率が有意に低く、2020年度と比較して2021年度の方がこれらの項目等で正答率が有意に高かった。さらに、2019年度と2021年度では正答率に有意な差は認めなかった。2020年度と比較して2019年度に正解者の割合が高かったことは、対面授業によるタイムリーな再説明ができたことが一つの要因と考えられため、2021年度は、講義動画配信後に、学習支援システムの小テスト機能を用いた練習問題を実施し、反復学習や不明点に対する質問への個人的な対応を実施した。その結果、2020年度と比較して正答率が有意に上昇したと考えられた。ICTを活用した看護師への研修の場合、同時双方向型を導入し、各個人に対応する機会を設けることで、遠隔研修においても効果的な研修が可能であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電子カルテ教材を用いた研修: 2020年度、2021年度の計画では、電子模擬カルテシステムを活用しながら対面研修を行い、看護データの二次利用に向けた教育及び、統計解析の研修を行う予定であったが、コロナ禍において緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の発出、病院側の感染予防措置により、病院への研究者の出入り、対象看護師との面談、対面研修や アンケート調査を行うことが出来なかった。また、今回の研究対象である看護師の業務は繁忙を極め、オンライン研修等にも時間を割くことが困難な状況であっ た。 シミュレーション演習の評価:コロナ禍により研修対象である看護師による評価が困難な状況であり、教材の評価に至らなかったが、看護学生における教材の評価は一部可能であった。 統計分析の研修: 看護学生に対しても看護師と同様の統計分析講義を行った結果、受講者の理解度を上げるには対面方式に近似した、双方向型もしくは、個別対応を強化したオンデマンド型の教授方法が有効なことがわかり、 看護師に対してもこの方式を導入する必要があることが示唆された。しかしながら、2020年度、2021年度では、この教育方法を導入するための環境が受講者側で整わず、看護師の業務も繁忙を極めたため評価できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
Web版教材を用いた自己学習が可能なシステムを開発する前に、現在までに用意した教材や研修の評価を収集し、いかにして遠隔研修において、対面方式と遜色のない電子模擬カルテを使用してのシミュレーション教育が行えるかを評価する。特に今年度に関しては、会議システムを使用した双方向型の教育システムを考案し、看護職を対象にした個人へのフィードバックも工夫した教育研修を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において、2021年度に計画した看護研修の実施とその評価、教材評価が不能となり、オンデマンド用の教材作成と看護学生への教育評価に科研費用を使用した。次年度は、看護研修の実施とその評価、教材評価、 学会発表のための旅費や双方向型教育システムの開発に費用を充当する。
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