病院の最小看護単位を管理する看護師長には、看護チームとしての円滑な業務遂行と共に多様な人材の能力を活かしつつ、看護師のワーク・ライフ・バランス(work-life balance;以下WLB)を実現することが求められている。先行研究では、看護師のWLB実現に向けた支援で看護師長の具体的な行動指針となり得る「看護師のWLB実現に向けた看護師長のコンテンシー評価尺度」を開発した。2021年度は、調査結果を再分析して既存の尺度を精錬した新たな尺度を示したが、基準関連妥当性や有用性の検証はできず課題として残った。 昨今の新型コロナウイルス感染拡大で医療を取り巻く状況は大きく変化し、看護師長が取り組むべき課題がより複雑化している。また、看護師のWLBの捉え方や求める支援の内容、看護師長によるWLB支援のあり方が変化したと推測されるが、その実態については明らかにされていない。今後、開発した尺度をどのように活用すると看護師のWLB実現に貢献できるかを示すためにも、尺度の妥当性を検証すること、看護師長・看護師双方の観点からコロナ禍におけるWLB支援の実態を明らかにし、WLB支援のあり方を検討することが必要であると考えた。 そこで、開発した尺度の妥当性を検証すること、看護師長・看護師双方の観点からコロナ禍におけるWLB支援の実態を明らかにし、WLB支援のあり方を検討することを目的とし、全国の病院の看護師長および同部署の看護師を対象にした質問紙調査を行った。現在は調査結果を分析中であり、順次結果を公表予定である。
|