研究課題/領域番号 |
19K10757
|
研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
久米 弥寿子 武庫川女子大学, 看護学部, 教授 (30273634)
|
研究分担者 |
田丸 朋子 武庫川女子大学, 看護学部, 講師 (00634940)
山口 晴美 武庫川女子大学, 看護学部, 助教 (00750506)
清水 佐知子 武庫川女子大学, 看護学部, 教授 (50432498)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | コミュニケーション / 可視化 / 看護学生 / 看護師 / 構造化 |
研究実績の概要 |
当該年度では、看護学生の集団内コミュニケーションの実態を可視化するために、前年度にビジネス顕微鏡を使用して収集されたデータ分析を進めた。具体的には、複数の相互作用が生じるコミュニケーション演習場面において、4~5名程度のグループを測定対象として、看護学生間のコミュニケーションの量と構造の測定を行ったデータを使用している。当該データは、協力の得られたA大学看護学部生の1年生の演習参加者のうちで同意を得られた55名を測定対象とした。 看護学生の集団内コミュニケーションの量的分析では、(a)対面時間、(b)対面回数、(c)方向性や相互性などの分析を行った。まずは、特に、各グループや学生全体の傾向などの把握を行った。結果として、一部の学生を除き、対面時間については、学生全体やグループによる大きな違いはなく、対面時間のうちの約12%~18%は会話をしており、会話時間のうち約30%~45%は双方性の会話であった。一部には、対面時間や会話時間が少ない学生もあった。さらに、対面時間に関して、発話者か受け手であるかの会話の方向性における時間の割合では、発話者としての時間の2~5倍程度が受け手としての時間となっていた。対話回数では、5分以下の短時間の回数が最も少なく、5-15分以内の短時間の場合よりも、30分以上の長い場合の時間が多かった。 今後は、集中度などの指標により実態を明らかにすると共に、組織ネットワーク図の表示やネットワークの密度や位置関係などからその特徴を考察する。加えて、グループ参加度や満足度について、三沢の看護師チームのチームワーク測定尺度を参考に、集団内の状況や満足度の主観的データを収集していることから、各集団内の会話時間や双方向性の割合などとの関連性の分析を進める。それにより、看護学生間のコミュニケーションの量や構造と主観的な捉え方の影響についての考察を深めるものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度では、本来、事前に調査協力を得ていた医療機関における看護師対象のコミュニケーションの調査を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、感染予防対策に伴う医療現場の負担を考慮し、データ収集を延期していることにより、予定のデータ収集ができなかった。また、調査の見通しが立たないことにより、計画的に分析ソフトや測定機器のレンタルを行う必要がある性質の機器を使用する計画であるが、期間の調整が困難であったことにより、新規のデータ収集や分析が計画よりも遅れたことが要因である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、看護間コミュニケーションの調査依頼を再度進めて、可能な範囲でのデータ収集を進める。また、既に収集済みでのデータ分析を進めると共に、場合により、学年進行に伴う学生の集団内コミュニケーションの実態を把握し、分析を加える。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、医療機関でのデータ収集が不可能であったことから、データ収集に使用するビジネス顕微鏡のレンタル使用料が発生していない。次年度は、遅れているデータ収集を実施する計画であることから、1,100,000の測定機器使用料を始めとして、最終報告のための人件費・消耗品などのための費用が必要である。
|