研究課題/領域番号 |
19K10762
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
原口 道子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 主席研究員 (00517138)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 在宅医療安全 / リスクマネジメント / 連携 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、「医療機関と訪問看護事業所の看護連携による在宅療養支援リスク管理指標の開発」である。初年度(2019)は、【調査A】医療機関と訪問看護事業所の看護連携内容と在宅療養リスクの抽出を目的として、医療機関看護師と訪問看護師に面接調査を行った。調査内容は、上記の1)医療機関の看護師と訪問看護師が在宅療養支援計画を立案・遂行する際の連携ニーズ、2)在宅療養生活で想定されるリスクとリスク予防策である。対象は、先駆的実践者14名(医療機関病棟看護師7名、地域連携部門看護師5名、訪問看護師2名)であった。 医療機関への入院には、病状悪化に伴う〈緊急入院〉・病状評価や治療にともなう〈計画入院〉がある。病状の経過によって、入院のタイミングですでに地域支援体制が確保されている場合(体制あり)と未確保(体制なし)の場合がある。 いずれの場合も、1)医療機関看護師と訪問看護師の連携ニーズとして、〈入院前〉〈入院直後〉〈入院中〉〈退院前〉〈退院後〉の療養経過の各段階で連携を必要とした。各段階では、身体情報(症状・治療・方針)・生活情報(家族含む)・介護情報・支援体制情報、認識の各項目に関する〈情報整理(アセスメント)〉〈対応〉〈介入(治療・ケア・指導・体制整備)〉について各立場から確認するという在宅療養支援計画の構造が明らかになった。当構造の各局面において、効果的かつ円滑な支援の方策として、医療機関看護師と訪問看護師の連携及び工夫を要した。2)在宅療養生活で想定されるリスクとリスク予防策として、疾病特有の顕在的リスクに加えて病状の進行を見据えたリスク、在宅医療管理に伴うリスク、物品や環境のリスク、家族の介護状況など支援体制のリスク等について、予測可能な範囲について可能な限り医療機関で対応し、訪問看護に引き継いでいた。 今後、本結果をリスク管理指標案として構成し、実態調査をする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、「医療機関と訪問看護事業所の看護連携による在宅療養支援リスク管理指標」を開発する。1)医療機関の看護師と訪問看護師が連携して在宅療養支援を計画・遂行するための連携ニーズ、2)在宅療養生活で想定されるリスクとリスク予防策を抽出し、3)医療機関・訪問看護事業所の看護連携による在宅療養支援リスク管理の視点を指標として示す。4)開発した指標にもとづき、医療機関と訪問看護事業所の看護連携によるリスク管理の意識と実施状況の実態を明らかにするとともに、5)開発した指標の実用可能性を評価する。 当該年度は、1)2)の分析から、3)医療機関の看護師と訪問看護師の連携によるリスク管理の視点を抽出し、リスク管理指標案を作成することとしていた。次年度に実施する4)医療機関と訪問看護事業所の看護連携によるリスク管理の意識と実施状況の実態調査に活用する予定である。以上の通り、予定通りに進展することができている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、「医療機関と訪問看護事業所の看護連携による在宅療養支援リスク管理指標」を開発する。1)医療機関の看護師と訪問看護師が連携して在宅療養支援を計画・遂行するための連携ニーズ、2)在宅療養生活で想定されるリスクとリスク予防策を抽出し、3)医療機関・訪問看護事業所の看護連携による在宅療養支援リスク管理の視点を指標として示す。4)開発した指標に基づき、医療機関と訪問看護事業所の看護連携によるリスク管理の意識と実施状況の実態を明らかにするとともに、5)開発した指標の実用可能性を評価する。 次年度(2020年度)は、1)2)の分析から抽出した、3)医療機関の看護師と訪問看護師の連携によるリスク管理の視点に基づき、4)リスク管理指標により、医療機関と訪問看護事業所の看護連携によるリスク管理の意識と実施状況の実態を明らかにする調査を行う予定である。さらに、最終年度(2021年度)は、当初予定通りに指標の実用可能性の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた費目は、「人件費・謝金」と「旅費」である。調査協力謝金は、対象者の希望により「謝品」とする者がいたこと、調査に係る旅費は、近隣の機関の研究対象者の協力が得られたことにより予算よりも使用が少なくなった。 一方、2年目以降には全国調査を予定しており、調査票印刷・データ入力等を業者委託する予定であるほか、自由記載欄を含む入力内容は随時研究者との確認・相談を要する内容であることから、入力担当者を臨時に依頼し「人件費」として支出する予定である。
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