研究実績の概要 |
本研究は、医療機関と訪問看護事業所の看護連携による在宅療養支援リスク管理指標を開発する。 初年度は、医療機関看護師と訪問看護師計14名の面接調査を実施し、1)医療機関看護師と訪問看護師による在宅療養支援のための連携項目、2)看護連携によるリスク管理項目を整理した。 2年度(2020)は、初年度データの質的帰納的分析を行い、看護研究者等5名の予備調査を経て、1)40項目、2)20項目の内容妥当性を確認して指標素案とした。 最終年度(2021)は、医療機関看護師と訪問看護師各1000名に指標素案の実施状況を調査した。有効回答は324件(医療機関看護師206件、訪問看護師118件)であった。連携指標は、探索的因子分析(最尤法・プロマックス回転)で25項目5因子が抽出された(累積寄与率64.33%, α係数0.95)。第1因子「在宅療養支援計画の検討(7項目)」、第2因子「在宅療養生活を想定した病状・病識の情報共有(7項目)」、第3因子「在宅療養を見通した療養方針の共有(6項目)」、第4因子「支援体制の確保(4項目)」、第5因子「安全な在宅医療管理(2項目)」で構成された。確認的因子分析による適合度は、GFI0.841、AGFI0.808、CFI0.908、RMSEA0.077であった。リスク管理指標は、探索的因子分析(最尤法・プロマックス回転)で16項目2因子が抽出された(累積寄与率63.14%, α係数0.96)。第1因子「リスクの共有に基づく在宅療養支援計画(10項目)」、第2因子「在宅療養生活を想定したリスクの検討(6項目)」で構成された。適合度は、修正指数から3組の誤差変数に共分散を設定し、GFI0.873、AGFI0.829、CFI0.931、RMSEA0.093となった。最後に、先駆的看護実践者3名の指標評価により、概ね実践との乖離はなく実用可能性の一定評価を得た。
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