研究課題/領域番号 |
19K10775
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研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
大澤 歩 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (70780948)
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研究分担者 |
石原 逸子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (30221071)
稲垣 聡 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (70785451)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 心理的安全性 / speak up |
研究実績の概要 |
今年度は、本研究の中心となる概念である心理的安全性について文献検討を行った。看護師やヘルスケアワーカー(HCW)が捉えた心理的安全性について明らかにすることを目的に、学際的なデータベースであるWeb of Scienceにて検索、1054件の中から看護・保健医療分野をフィールドとした64文献を抽出した。これらの文献はすべて海外文献であった。抽出した文献のうち、チームの心理的安全性と看護師やHCWが患者のために声を上げる(speak up)こととの関連について述べられた10文献に着目した。その内訳は、1)心理的安全性とエラー報告や他者の誤りについての指摘との関連性、2)心理的安全性は、声をあげるか差し控えるかを決める要因の一つになることを示唆したもの 3)心理的に安全な環境により、個人は困難な会話に従事する可能性を示唆したもの、4)チームの心理的安全性と医療安全管理スタイルおよびspeak upとの関連性を検証したもの、であった。 これらの文献検討の結果から、臨床実践の場における心理的安全性の高い環境づくりが、看護師のペイシェントアドボカシーの実践を実現するうえで必要であることを確認することができた。 今後は、日本の臨床実践の場における心理的安全性の高い環境づくりを目指し、次の段階として、日本の看護師が臨床実践の場における心理的安全性をどのように捉えているのかについてのインタビュー調査を予定している。我が国の医療現場ではまだ馴染みのない概念であり、この後、今回の文献検討を基にした概念分析によって心理的安全性を再定義することは、インタビュー対象者への概念についての説明を容易にすることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献検討で対象とした文献が多岐にわたり、全てが海外文献であったことも影響して、予想以上に検討に時間を要した。また、2020年度前半までのあいだに、看護師を対象としたインタビュー調査を実施していく計画ではあったが、2020年2月以降、研究協力施設への立ち入りが困難となり、研究協力要請が進められていない。
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今後の研究の推進方策 |
文献検討の結果、研究の次の段階である、「日本の看護師のとらえる心理的安全性についてのインタビュー調査」の実施に先立って、臨床実践の場における看護師やHCWのとらえる心理的安全性の概念分析が必要であると判断した。そして、概念分析にて再定義した「臨床実践の場における看護師にとっての心理的安全性」をもとにしてインタビュー調査ガイドを作成するように計画を変更して進めることとした。 また、概念分析と並行して、看護師を対象としたインタビュー調査の準備を進めていく予定である。研究協力施設は、複数の目処が立っているため、施設側の受け入れ状況について情報収集しつつ、インタビュー方法や対象人数・調査場所や調査期間等、施設側の状況に合わせた実施可能な方法を柔軟に検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、質問紙の作成やそのデータ入力外部委託費、アルバイトの人件費を計画していたが、研究の進捗状況に関係で不要になった。また、看護倫理関連の書籍費として予算計画を立てていたが、看護倫理関連の研究を他にも分担しており、本研究費での書籍購入の必要がなくなったため。
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