本研究の目的は、国内における災害現場でのトリアージによって、「黒」のトリアージ・タグ を付された傷病者に看護師が対応するための訓練教材としての試作のDVDを製作し、また、このDVD教材の使用効果を検証のうえ、量産化と普及に向けた準備を行うことである。 2019~2020年度は、国内の災害拠点病院を訪問し、災害訓練の観察などから得られた結果を参考にして、シナリオ案を考案した。 2021年度は、考案したシナリオ案に基づいて本番撮影を実施し、DVD教材として完成させた。 2022年度は、製作したDVD教材にアンケートはがきを添付して全国の災害拠点病院などに配布し、回答者の職位や経験年数、本DVDの内容でよかった点(選択回答式)、利用機会について(選択回答式)、本DVDの視聴が役立つと思われる職種(選択回答式)、本DVDに対する意見、改善点などを尋ね、項目ごとに単純集計を行った。視聴された96施設の方から本DVDに関する回答を得た。 回答者は「看護部長」が47.9%、「副看護部長」が24.0%、看護師長が17.7%、副看護師長と主任が各々5.2%で、看護師としての経験年数(平均年数)は31.5年であった。施設については「地域災害拠点病院」が78.1%、基幹災害拠点病院が14.6%、災害拠点病院ではない施設が4.2%であった。内容でよかったのは「家族対応における留意点」が87.5%、「ご遺体を前にした家族への対応」が83.3%であった。利用機会では「研修」が78.1%、「災害訓練」が38.5%であった。役立つと思われる他職種では「医師」と「事務員」が各々54.2%、「看護学生」が39.6%であった。自由記述では「一連の流れがみられることによってイメージがつきやすい」などの意見があった。以上より、本DVDは研修や訓練に活用でき、看護師以外の職種や看護学生にも役立つ可能性が示された。
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