研究課題/領域番号 |
19K10795
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
間脇 彩奈 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (10533341)
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研究分担者 |
藤本 悦子 一宮研伸大学, 看護学部, 教授 (00107947)
中西 啓介 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (10464091)
竹野 ゆかり 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (20509088)
大島 千佳 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (30405063)
川西 康友 国立研究開発法人理化学研究所, 情報統合本部, チームリーダー (50755147)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | リンパ浮腫 / 生理的浮腫 / 皮膚画像 |
研究実績の概要 |
リンパ浮腫は慢性的なものであり、継続的なケアや診断が必要になるが、それらに要する労力は大きく患者の負担が大きい。この負担を軽減するために、統一した指標やケアのエビデンスを確立し、より簡便で適切なケアを検討することは喫緊の課題である。 私たちはこれまでリンパ浮腫患者の皮膚の変化に注目して研究を行い、リンパ浮腫患者の皮膚表面構造が変化していることを観察してきた。本研究では、まだ多くのことが明らかにされていないリンパ浮腫患者の皮膚表面構造に着目し、リンパ浮腫の皮膚の評価とすることができるかを明らかにすることを目的としている。 2022年度までに、皮膚表面構造の拡大画像を用いて皮溝と皮丘を明瞭化させるための処理方法、分析方法の検討、既存のデータを使用した画像処理および分析を行った。その結果、上肢リンパ浮腫患者の患側では皮丘面積の割合が大きくなる傾向が見られ、リンパ浮腫の特徴を表している可能性を示唆した。この結果は、2023年度に学会発表を行った。 2023年度は画像処理について、作業の効率化や妥当性を向上させるためにプログラミングを作成し自動化を行った。その画像処理方法を用いて、健常女性の下肢で生理的に発生する浮腫前後の皮膚表面構造の変化について分析を行った。その結果、腓骨部付近の浮腫の程度が大きい部位では、皮丘割合が他の部位よりも大きくなるという結果が得られ、皮膚表面構造の拡大画像が浮腫の評価として使える可能性をさらに強化する結果となった。 今後の課題として、超音波画像等皮膚内部構造の評価と併せて皮膚表面構造の拡大画像の評価を行う必要があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度までに画像処理・解析方法を確立し、2023年度はプログラミングを作成、作業効率を上げて分析を行うことができた。また、健常女性の下肢で活動後に生理的に発生する浮腫の皮膚表面構造の変化についての調査、分析を行った。その結果、浮腫の程度が大きい部位では、皮丘割合が他の部位よりも大きくなるという結果が得られ、皮膚表面構造の拡大画像が浮腫の評価として使える可能性を支持する結果を得ることができた。 しかし、圧痕測定法による浮腫評価に信頼性が低かったため、今後の課題として、超音波画像等の皮膚内部構造の評価と併せて皮膚表面構造の拡大画像の評価を行う必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
健常人、患者含めて新規被験者のリクルートを行い、被験者数を増やしながらこれまで行ってきた画像分析方法の妥当性の検証を続ける。併せて、既存データを用いて、患者背景や浮腫の程度を示す他の指標、超音波画像の評価との関連性についても分析を進める予定である。また、これまでの結果を学会や論文にまとめ発表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規被検者のリクルート数が想定よりも増えず、謝金や調査に係る費用が少なかった。論文投稿を次年度に予定したため、校正と投稿料分を繰越とした。
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