研究課題/領域番号 |
19K10796
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研究機関 | 鳥取看護大学 |
研究代表者 |
遠藤 淑美 鳥取看護大学, 看護学部, 教授 (50279832)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リフレクション / 実習指導 / 教育プログラム / U理論 / RIAS |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,臨地実習教育の一端を担う実習指導者の理論と実践をつなぐリフレクションを継続的に可能にする教育プログラムを開発することである. これまで,プログラム導入前の実習指導者のプロセスレコードを収集し,プロセスレコードの分析方法を検討した.その結果,プロセスレコードの分析を量的及び質的に分析するために,2つの方法が有効であることがわかった. 1つは,RIASによる量的な分析である.これは,すでに各国で使用されて有用性が確かめられている方法であり,あらかじめあるコードにそって発話者の発話内容を分析する方法である.これにより,どのような内容の発話が多く発せられているかがわかる. 他の方法は,複雑でかつ個別性の高い臨床状況において,指導者が状況に必要な変化を導くプロセスの,どの段階にいるかを理解することのできるU理論によって,質的に分析する.これにより,指導者の意識状態が理解でき,次の段階へ進むために必要な介入が明らかにできる. データ収集により得られていたデータは,実習指導場面の気になった場面,うまくいかなかったと実習指導者が感じた場面であった.2つの方法によって,得られたデータを分析したところ,RIASによっては,指導者は,学生への承認などが含まれる心理社会的カテゴリーより,助言・指導が多く,質問の数も限られていた.またU理論による意識のレベルは,多くはダウンローディングの段階にとどまっており,学生の視点から状況を観て,感じる段階に至っていないことがわかった.プログラムでは,学生の視点から状況を観て感じることができるような方法を検討することが必要であると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は,文献の検討を行い,改めてリフレクションに関連するモデルの状況,ALACTモデルの研究状況,代替となるようなモデルの有無を調べた. 2年目は研究代表者の異動のための所属施設における仕事の整理及びコロナ蔓延により,ほとんど研究活動ができずに中断したような状況になった. 3年目になり,すでに得ていた質的データをどのように分析するかを再検討するのに時間を要した.有用な2つの方法にたどり着き,データを分析し終わった段階でその年度が終了している.また,新たな職場と仕事への適応に時間を要し,研究活動のためのエフォートが難しかった.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,分析したデータの論文化に取り組む.また,新たに作成したシートの実施,研修参加した実習指導者へのアンケート実施,改訂のサイクルを繰り返し,最終版のリフレクションシートを作成し,公開する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
所属異動に伴い,新たな職場および職務の適応及び遂行に時間を要し,研究活動の時間を十分に確保できなかったことが大きな要因である.また,コロナの周期的な蔓延により,フィールドへ出向くことができなかったことも要因の1つである. 次年度使用額が生じている点について,感染対策を十分にし,実施の遅れている計画についてフィールドに出向く機会を確保し,研究を進めていきたいと考えている.
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