研究課題
本研究の目的は、IVR介助看護師に対し、放射線防護に関する教育を実施し、教育前後の目の水晶体の被ばく線量と看護師の業務動線を比較することで教育効果を検証し、被ばく低減に向けた防護教育の有効性と評価を検証することである。研究協力が得られた施設で対象者3名に①線量測定、②動線調査、③質問紙調査(防護の基礎知識、被ばくに関する不安、防護行動の認識)を行った。調査終了後に防護教育を実施、その後再度①②③の測定を実施し、防護教育を評価した。線量は教育前後で約20%低減し、教育の効果が示唆された。その結果は2020 Taiwan International Nursing Conferenceで発表した。調査結果をもとに介助時の課題等を共有するためグループディスカッションを計画していたが、新型コロナウイルス感染拡大対策のため実施できなかった。そこで、IVR介助看護師、研究分担者、放射線看護教育に関わっている関係者と内容・教育方法等を検討した。その際、看護師の放射線に関する基礎教育や勤務状態を考慮し、放射線の基礎およびIVR看護に特化した防護内容を検討した。2022年度には長崎県看護協会主催でオンラインにより研修会を2回開催した。第1回は7月に開催し、放射線の基礎知識をどのように被ばく低減に活用するかの内容とした。研修会前後で散乱線や防護具に対する認識に変化があり、放射線被ばくへの不安が研修会後には約30%減少した。2回目は2023年3月に開催した。これまでの研究結果をふまえ、IVR介助看護師の実際の業務動作に応じた具体的な被ばく低減についての内容とした。どのような業務で実際に被ばくしているか、どのように防護するかは約9割のものが理解できていた。研修会の評価をもとに、日々の実践の中で防護行動がいかに定着できるか、さらに教育内容のブラッシュアップが必要だと考える。