研究課題/領域番号 |
19K10808
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
松田 健 長崎県立大学, 情報システム学部, 准教授 (40591178)
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研究分担者 |
前川 泰子 香川大学, 医学部, 教授 (60353033)
真嶋 由貴恵 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (70285360)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 採血技術 / センサー / 数理モデル / 圧力データ |
研究実績の概要 |
本研究は、センシングデバイスと数理的解析方法をもとにして、採血手技に関する技やスキルを定量的に評価するための手法の確立を目指している。採血技術には、注射針を刺入する血管を選定する技術や、穿刺する深さや角度など、状況に応じて微妙な変化の対応が必要となる技術が含まれている。採血技術については、教科書にもその手順が詳しく記されているが、上述のような感覚や経験を頼りにせざるを得ない技術が含まれる。 このような文章化することが困難な技術をICT技術を用いてより分かりやすく技を伝達する手法を確立するため、現役の看護職の協力のもとで、腕モデルを用いた採血手技実施時の手や視線の運動データを取得する実験を行った。初年度は、採血の際に重要な血管固定などのための皮膚伸展技術と指の圧力のかけ方がどのようなデータの特徴をもつか、という点について主に調査を行った。 現時点での成果としては、(1)皮膚伸展時の圧力データに関する時系列データに他の作業時とは明らかにことなるデータ分布が見られることに加え、そのデータの特徴を数理的に表現する手法を確立したこと、(2)採血手技実施時の皮膚伸展の圧力データと被験者の視線データを統合して解析したところ、採血技術実施手順の一部について、圧力データのある特徴と視線データのある特徴のパターンの発生と一致する部分があることを発見した。 これにより、手順通りに作業が進められているかどうかを、データを取得・解析することで自動で判断できるようになることが期待される。 本研究のここまでの成果は、国際会議論文として発表済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の通り、実験を実施し、データを取得することができている。 さらに、データの解析結果から、計画時に想定した結果が得られていることと、詳細な解析により、計画時には想定しなかった事象の発見にもつながっていて、全体の計画を遂行するうえで必要な準備は初年度で整えることができたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に実施した実験とデータの解析結果から、研究を遂行するために必要なデータを取集するための追加実験を行う。 さらに、採血手技を自動評価するためのアルゴリズムとそのテストを追加実験のデータを用いることで実施する。 さらに、実験時に3蜜状態を作らないように、データ取得デバイスの簡素化についても検討したい。 本研究で得られた知見について、一般に公開するためのウェブページの準備も同時に進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を遂行する上で、データから新たな知見がえられ、その知見の検証を追加実験を実施することで行うため。
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