研究課題/領域番号 |
19K10809
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研究機関 | 沖縄県立看護大学 |
研究代表者 |
金城 芳秀 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 教授 (40291140)
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研究分担者 |
西川 浩昭 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (30208160)
佐伯 圭一郎 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (50215521)
李 廷秀 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (60292728)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シビリティ / アクションリサーチ / 看護学生 / 看護教育 |
研究実績の概要 |
看護学生のシビリティ(civility)を育むには、教員と学生が互いに敬意を払うことが求められ、シビリティ、プロフェッショナリズム、倫理的実践に価値を置く意図を共有し、学びの場を創出する必要性があると指摘されている(Clark, 2017)。そこで、本研究ではJournal Club(文献抄読会)、Students Club(専門看護師などゲストとの対話)およびCivility Exemplar Club(典型的なシビリティ事例の表彰)という3つのアクションを通して、新たな学びの場の構築に挑戦する。 本アクションリサーチの研究計画は、研究者所属大学の研究倫理審査委員会から承認を得た。その際、研究者が教員という立場から、研究協力において学生に強制力が働かないように特別な配慮を求められた。具体例としては、授業の無い日時(昼休憩時間、放課後、土日、休日)に、研究協力者募集説明会を3回試行した。学生参加者は計10名と限定的であったが、3つのアクションの中では、Students Clubが最初に参加したいアクションとの希望であった。Journal Clubのイメージがつきにくいことは想定内であったので、最初に取り上げる文献の重要性が再確認できた。最近報告されたClark&Fey(2019)が提唱するシビリティを育むコミュニケーションに注目している。これはインシビリティな対話の構造を明確にできる概念モデルであり、これを含めて計5回分のJournal Clubの文献は用意できた。現在、新型コロナウィルスの感染防止対策などもあり、3つのアクションの開始時機と方法を検討している。なお、前科研費のテーマ「看護教育におけるインシビリティ(incivility)測定尺度の開発」も本研究との連結を図っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は研究倫理審査委員会の承認を得て、研究協力者募集説明会を実施した。最初のゲストスピーカーの人選が重要と考え取り組んでいたところ、新型コロナウィルスの感染防止対策により、学内集会等の自粛が出されたため、今回は見送らざるを得なかった。2020年6月に入り、徐々に活動自粛が解かれ、学内での対面授業も制限付きで開始されてきた。マスク着用、換気および身体的距離をとることを条件に集会などの活動も許可されてきたが、例年と異なり、余裕の無い状況が続いている。今後、Journal Club(文献抄読会)、Students Club(ゲストとの対話)およびCivility Exemplar Club(シビリティ事例の表彰)という3つのアクションをオンライン上で展開することも含めて、どのような仕組み・体制が必要か、いまできる試行を準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
看護学生にとってシビリティ(civility)は馴染みのない概念であるため、研究協力の同意を得るには、研究協力者募集説明会の随時開催、グループを一単位としたアクションの試行、共同研究者の所属大学間の学生交流を企画・実施するなど、学生の興味・関心を高めるための工夫が必要である。この準備として、研究者間でオンライン会議を重ね、研究者自体の遠隔コミュニケーションツールの習熟も必要と考える。さらに、Journal Club(文献抄読会)もStudents Club(ゲストとの対話)もオンライン化を目指しつつ、まずは対面対話後のフォローアップツールとしての活用を試みるなど、新たな枠組みの試行で研究の推進を図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染防止対策もあり、人件費はほぼ未執行である。加えて、JSPS科研費16K11935の研究テーマ(看護教育におけるインシビリティ測定尺度の開発)と、本科研費テーマ(看護学生のシビリティを育むアクションリサーチ)を連結して、予算執行を行った(2019 年度の重なり)。今年度は、オンライン上での研究展開を想定して、計画的な準備と情報機器の整備を計画している。また活動自粛が解かれ、学会開催などが通常開催に戻った場合、旅費等による予算執行が可能なように、ある程度の予算は保留する予定である。なお、予算の一部はインシビリティ測定尺度の調査票印刷に執行予定である。
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