研究課題/領域番号 |
19K10809
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研究機関 | 沖縄県立看護大学 |
研究代表者 |
金城 芳秀 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 教授 (40291140)
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研究分担者 |
西川 浩昭 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (30208160)
佐伯 圭一郎 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (50215521)
李 廷秀 東京医療保健大学, 医療保健学研究科, 教授 (60292728)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | シビリティ / インシビリティ / アクションリサーチ / 看護学生 / 看護教育 |
研究実績の概要 |
本研究では看護学生のシビリティ(civility)を育むことを目的に、アクションリサーチに取り組んできた。令和4年度(2022年度)も引き続き、新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止対策をとりながら、オンラインか直接対面かを判断して3つのアクションを展開した。その際、オンライン参加の希望者にはその都度対応した。その結果、2022年5月より、Journal Club(文献紹介)を月1回の計7回、Students Club(ゲストスピーカーの招聘)を4回(8月、1~3月)実施した。ゲストスピーカーは、訪問看護ステーション長、大学院生・看護教員、国際看護師、ならびに現役の看護職(卒業生)であった。また、Civility Exemplar Club(シビリティ体験談の原稿募集と受賞者の選考)は11月~1月に実施した。応募原稿4件において、本研究学生メンバー(8名)による選考から、4件すべてがシビリティ賞として選出された。受賞者の承諾を得て、原稿は2023年1月より学内掲示(4カ所)により公開して、教職員からも注目されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、授業時間外に設定している研究活動である。一部、新型コロナウィルス感染対策の影響を受けながらも、一年を通して学生と共に3つのアクションを計画的に実施することができた。活動日を学生メンバーに事前に諮るのは昨年通りであったが、参加メンバーのほとんどが3年次への学年進行に伴い、Journal Club(シビリティ関連の文献紹介)の参加者数は1~3名と少数範囲となった。一方、Students Clubは、学生自身がゲストスピーカーを人選した2回が加わり、当初計画の年2回(夏季休暇と春季休暇)が4回となった。いずれも参加者数は5名程度と多くはなかったが、学生自身が新たな出会いの機会を模索していた。今回、シビリティ賞の原稿題名は、「患者家族の声掛けから生れた私らしい看護」「受けとることができた感謝の言葉と手紙」「小さな失敗が将来の大きな失敗を防ぐ」および「双方向的で肯定的な対話と無言の圧力(匿名)」である。一つは、教員のインシビリティに触れているため、本人希望により匿名での公開となった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、令和4年度(2022年度)で終了予定であったが、研究期間の一年延長を申請した。令和5年度(2023年度)は、学生メンバーの意向により、Students Club(ゲストスピーカーの招聘)は、学生自身による交渉で人選する方向性である。以前は、関心分野を学生が決め、人選は研究者が分担してきた。 本研究に参加してきた学生メンバーおよび研究者にとって、コロナ禍に伴う教育学習環境の変化とこれに伴うストレスは、むしろシビリティあるいはインシビリティを意識化しやすい期間であったように思われる。われわれの学びであり、他と共有したいと考えているシビリティは、「相互関係に敬意を払う」「多様性を尊重する」「関係者に直接話す」「他者の視点を受け入れる」、そして「最善の意図や意思を仮定する」などである。最終年度は総括として、「シビリティ誓約」を学生自らが策定・推進する展開につなげ、広く共有する新たな機会として、対話イベントの開催を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症(COVID-19)のパンデミックにより、研究開始年度から計画変更を余儀なくされ、当初予定していた調査旅費、研究者会議あるいは学会参加における旅費等の未使用が蓄積されていった。オンライン上での活動展開においても、所属大学では急遽、通信環境やアプリケーションの整備が進められ、これを研究利用することも勧められた。すなわち、研究費を自然に節約できる環境が継続してきた。その後、県下でもCOVID-19の患者数が徐々に減少する傾向がみられ、感染対策をとりながら、講義室での対面授業に移行する状況となり、サークル活動など課外活動に参加する学生たちも戻ってきている。 そこで、本研究においても、研究期間の一年延長を申請し、2023年度は、これまでの総括を含めて、新たな取り組み「シビリティ誓約」とその成果を広く共有するための対話機会を計画したところである。実際、COVID-19が感染症法上の位置づけがいわゆる2類相当から5類感染症になるとの政府の方針変更が出され(2023年5月)、今後の研究活動も活発化できると期待している。
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