本研究は、新人看護師の早期離職防止に向けた新人教育の在り方を見出すことを目的とする。 倫理委員会承認のもと、某病院に入職した新人看護師に対し、交流分析による性格検査、対人スキル、看護師志向・適性への認識、特性不安などのデータを収集した。また、1年のうちで不適合を呈した群を症例群、生じなかった群を対象群とし、両者間で比較を行った。 合計353名が参加し、解析対象は症例群が32名で、対象群が304名であった。症例群において、交流分析で、32名中21名(66%)に①『親の自我』を表すP因子において、批判的な親の自我(CP)<保護的な親の自我(NP)、②『子供の自我』を表すC因子において、順応の子供の自我(AC)>自然の子供の自我(FC)、③順応の子供の自我(AC)>反抗の子供の自我(RC)の関係が見られた。また、18名(56%)が、これら3要因に加え、性格が自己否定型であった。また、15名(47%)が、3要因+特性不安が強い、12(38%)が3要因+自己否定+特性不安が強い、であった。対象群では、192名(63%)が3要因該当し、症例群と差は認めなかったが、3要因+特性不安は107名(35%)、3要因+特性不安は81名(27%)、3要因+自己否定+特性不安は57名(19%)といずれも症例群に比べ有意に低値であった。 新人看護師の特性として、①②③の3要因を持つ者が多かった。しかし、これらに加え、性格で自己否定傾向、特性不安を持つ者については、就業において、持たない者に比べ不適応を呈する可能性が示唆された。 本結果は、急性期の1病院での調査であり、病院には様々な機能を持つ病院があるため、必ずしもこの結果がすべての新人看護師に当てはまるわけではないことに注意を要する。
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