研究課題/領域番号 |
19K10814
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研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
木下 康仁 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 特命教授 (30257159)
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研究分担者 |
萱間 真美 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (60233988)
岡田 明子 (蛭田明子) 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (80584440)
山崎 浩司 静岡社会健康医学大学院大学, 社会健康医学研究科, 教授 (30378773)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 批判的実在論 / critical realism / 看護 / 科学哲学 / メタ理論 |
研究実績の概要 |
研究会活動(オンライン)を中心に進め、着実な成果が得られている。 1.2020年度に引き続き、2021年度は研究会をほぼ月例で開催し3月で第14回となっている。聖路加国際大学の看護学の博士課程の学生が主体であるが他大学の社会学の院生、看護学、社会福祉学、社会学の研究者も参加し、看護学を中心にしながらも学際的な会員構成になっている。批判的実在論に関する基本文献(翻訳)、web上で公開されている講義(英語)を取り上げディスカッションによる学習活動に加え、批判的実在論を用いて研究を行った社会学者による講演、博士論文で活用を検討している院生の報告などが主な内容であった。 2.難解な科学哲学である批判的実在論への理解も研究会を重ねるごとに深まり、看護学との関連で広がりがみられるようになってきた。2021年度には批判的実在論の一部である形態生成論アプローチ(分析的二元論、Margaret Archer)を用いた博士論文や、メタ理論として用いた博士論文が見られた。また、現在、博士論文の研究計画において批判的実在論の活用を検討中の院生も出てきている。 3.批判的実在論を用いた看護学での研究論文(すべて英語)を対象にスコーピング・レビューを行い、2010年代以降、総説、研究論文ともに増加傾向にあること、一方、日本では看護学では皆無に等しい状況であることが確認された。レビューの結果は研究会で報告するとともに、論文として発表した。 4.これまでの本プロジェクトの成果を看護研究(医学書院)に特集号として発表した(刊行は、2022年4月、vol. 55, no. 2)。総合すると本プロジェクトの目標である大学院生を対象とした批判的実在論に関する研究方法論のテキストの作成に向け手ごたえが得られてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により国際移動を伴う計画は停滞したままであるが、研究会活動が軌道に乗ってきており、さまざまな作業結果を検討材料として提供しながら進めることができている。また、その結果を研究誌に発表することで周知できるようになっているため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度になる2022年度には本プロジェクトの最終目的である看護学の大学院生を対象とする批判的実在論に関する研究方法論の教科書の作成に向けた基礎作業を進める。 また、看護学の主要研究者へのインタビューを行い、批判的実在論の可能性およびが理解されていくための課題を探求する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外移動の旅費部分が執行できない状況が続いているのが最大の理由であるが、状況の改善を注視していく。
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