研究課題/領域番号 |
19K10827
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
佐々木 新介 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (30611313)
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研究分担者 |
市村 美香 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 講師 (80712281)
荻野 哲也 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (90252949)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 静脈穿刺 / 血管拡張 / 温熱刺激 / 可視化 |
研究実績の概要 |
本研究は,末梢静脈穿刺困難時の看護援助として温熱刺激(温罨法)と用手法を併用することの有用性(血管拡張効果)を評価するものである.初年度である令和元年度は,臨床看護において静脈穿刺時に実施されている援助の効果(温罨法やクレンチング,タッピングの効果など)について,研究分担者らと意見交換を行い,最新知見や研究成果等についての情報収集等を行った.具体的には,国内外の最新の研究成果や文献を入手して,本研究の方向性と今後の研究計画の焦点について検討した. 静脈穿刺困難時に臨床看護で実施されている援助方法としては,温罨法やクレンチング,マッサージ,タッピングなど手技が多く実施されていた.これらの個々の手技における血管拡張効果については評価されているものの,温罨法と併用した場合の効果は報告されていなかった.特に,温罨法の血管拡張効果は外気温の低下する冬季などの方がより効果的であることも推察された.また,温罨法時間(加温時間)についても我々の知見(15分間)よりも短時間の5分間での効果を報告している文献も認められたため,短時間での温罨法の効果検証を計画した.温罨法と併用する用手法としては,クレンチングの効果が報告されていたため,温罨法とクレンチングの併用効果について最初に検討することとした. 健常人を対象に温熱刺激とクレンチングを併用した場合の血管拡張効果を超音波診断装置やレーザードップラー血流計を用いて予備実験を実施した.予備実験は,13名の対象者に対して実施し,血管拡張効果を確認した.しかしながら,レーザードップラー血流計のセンサー装着部位や計測ポイントなど今後改善が必要と思われる課題も抽出された.次年度は,予備実験の結果を踏まえ,適切なサンプルサイズを設定し,温罨法と用手法の併用効果について検討していく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画に従い,共同研究者らと協議を行い,今後の予定等を検討できた.新型コロナウイルスの感染が拡大したことで,予備実験から抽出された課題解決に向けた検討等について,共同研究者らとの打ち合わせ方法を(メールやオンライン等へ)変更するなど修正が必要ではあったが,概ね予定通り計画を進めることが可能であった.
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染の影響により,対面での人を対象にした実験の実施が困難な状況ではある.しかしながら,社会情勢を注視し,感染予防にも留意しながら,研究を進めていく予定である.最新の論文等を取り寄せながら,オンライン等も活用しながら共同研究者らと連絡を取り,研究を再開できるように調整していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,年度末に静脈穿刺に関する研究を実施している研究者ら(10名程度)と研究会を開催する予定であったが,中止を余儀なくされたため次年度への繰越金が生じた.研究会は次年度,開催予定であり,静脈穿刺関連の研究成果を報告し,多くの専門家らと情報交換を行う予定である. また,新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,情報収集や出張等が困難であったことも次年度への繰越金が生じた理由である.
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