研究課題/領域番号 |
19K10830
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
三重野 愛子 長崎県立大学, 看護栄養学部, 講師 (60516293)
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研究分担者 |
山口 多恵 長崎県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (00597776)
辺見 一男 長崎県立大学, 情報システム学部, 教授 (30238711)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高齢者 / 嚥下訓練 / コミュニケーションロボット |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、独居高齢者が在宅で一人でも嚥下訓練を行い、さらに訓練映像等のデータにより遠隔での健康状態の把握ができるヘルスケア・デバイス機能を有したシステムの開発、およびそのシステムの活用可能性を検証することである。当初の計画では、タブレットを用いる予定であったが、より高齢者に親しみがあり、かつ高齢者でも操作が簡易な人型のコミュニケーションロボットUniboを用いることとした。2018年度に開発したタブレット上で模範映像を提示し映像を見ながら嚥下訓練を実施するプログラムを、コミュニケーションロボットUniboへ組み込んだ。利用者が訓練の動作を理解できるように、音声での説明後、ロボットの上肢や頭部の上下運動を組み込んだ。介護予防通所リハビリテーションへ通所している高齢者6名へ、開発したロボットを実際に使用してもらい、活用可能性を検証した。調査項目はロボット操作の容易性、Uniboを用いた嚥下訓練の継続意思、タッチパネルの反応、上肢および手指の運動機能(特に利き手)、嚥下機能レベル、嚥下訓練の経験の有無、在宅での嚥下訓練の経験の有無、タブレットや生活支援のロボットなどの電子機器活用の有無とした。被験者は、年齢は73歳から93歳の男性4名、女性2名であった。ロボットを操作する上で障害となる上肢の運動機能障害はすべての被験者で認めなかった。5名の被験者は調査以前に嚥下訓練の経験があり、そのうち2名は自宅または養護施設で経験していた。すべての被験者がユニボのような生活支援ロボットを使用した経験がなかった。そのため、調査当初すべての被験者がロボットの操作に不安を感じていた。しかし、最終的に、6名中4名の被験者が「家でロボットと一緒に訓練をしてみたい」と、ロボットを用いた嚥下訓練に対し積極的な反応を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、タブレットを用いたシステムの開発を予定していたが、より対象者が操作しやすいように人型のコミュニケーションロボットUniboを採用し、既存のプログラムを実装した。実際に高齢者6名に使用してもらい活用可能性も検証した。これまでの取り組み状況は、2020年度に計画した内容であるため、本来予定していた計画以上に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究目的のもう一つである訓練映像等のデータにより遠隔での健康状態の把握ができるヘルスケア・デバイス機能に関しての開発を行う。具体的には、利用者の写真データやバイタルサイン等をメールで転送し、外部から体調管理ができるようにする。また、コミュニケーションロボットに、嚥下訓練のほか、バイタルサインの管理や生活の見守り、内服の確認、環境チェック、コミュニケーションなど、高齢者の普段の生活を支援するプログラムを新たに組み込む予定である。2020年度・2021年度はこのロボットを離島に住む高齢者に実際に使用してもらい、活用可能性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度末に国際学会で発表予定であったが、新型コロナ感染症の感染予防のため出張ができなったため、次年度に予算を繰り越した。感染の状況によっては今年度も国際学会での発表ができない可能性もあるため、昨年度および今年度の国際学会参加のための予算は研究で用いるコミュニケーションロボットUniboの本体購入・開発・維持の費用に充てる予定としている
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