研究課題/領域番号 |
19K10840
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
三木 明子 関西医科大学, 看護学部, 教授 (30315569)
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研究分担者 |
篠崎 良勝 城西国際大学, 福祉総合学部, 准教授 (80405737)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 暴力対応 / 訪問看護師 / 訪問介護員 / トレーニング |
研究実績の概要 |
本研究は、訪問看護師・介護員へのヒアリング調査・ニーズ調査を実施し、日本独自の訪問看護師・介護員における暴力への対応力向上のためのトレーニングプログラムを作成する、トレーニングマニュアル・手引きと解説を作成し、トレーニング研修およびファシリテーター研修でプログラムの有用性を検証することを目的としている。 2020年度は、コロナ禍の影響で対面での集合研修を実施できず、研究計画を変更した。まず、コロナ禍において、利用者や家族から訪問看護師が受ける暴力の内容の質が変化している可能性があり、トレーニングプログラムにはそれらを反映させる必要があると考えた。そこで、大阪府内の750事業所の訪問看護師ならびに管理者を対象に調査を実施した。その結果、管理者調査では「職員がコロナに感染したと噂が立ち、問い合わせや訪問時確認があった」などの回答があり、訪問看護師調査では「利用者から除菌スプレーをかけられた」「看護師だから危ないと言われた」などの回答があり、これらの内容を踏まえて、2021年度のトレーニングプログラム内容を検討することとなった。 コロナ禍のため、集合研修にて暴力対応のトレーニングを実施できず、2021年1月に滋賀県で4回(37事業所、参加人数83名)、2021年2月に兵庫県で2回(17事業所、参加人数30名)、訪問看護師、介護員を対象としたWeb研修でオンラインでロールプレイを実施した。場面は、セクシュアルハラスメント発言を繰り返す利用者への対応場面、理不尽な要求をする利用者への対応場面、執拗に飲食を勧める利用者・家族への対応場面である。Web研修後の参加者の意見では、「具体的な対処方法が理解できた」「実践に役立つようにロールプレイで対応方法を講習したのが分かりやすくて良かった」「実際にやってみると言葉にするのが難しかった」などの意見があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍において、対面での集合研修が実施できなくても、90分のWeb研修で、対応力向上のためのロールプレイを実施でき、プログラム内容を検討する資料となった。また、コロナ禍で訪問看護師が受ける暴力の内容や質の変化を想定し、大阪府内の訪問看護師および管理者を対象に調査を実施でき、プログラム内容に反映させることになった。以上より、研究計画を変更することで、ほぼ予定通り、進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
訪問看護師・介護員の暴力への対応に関するトレーニング研修はニーズがある。しかし、コロナ禍の影響で、接触を伴うトレーニング内容を含む研修の実現は、十分な感染症対策を講じたとしても難しい状況である。ワクチン接種が進んでいない状況でかつ訪問看護師・介護員のケア対象となる利用者やその家族への感染リスクを考慮すると、接触を伴う研修を実施することは、当面、困難である。そこで、暴力対応のトレーニング内容は限定されるが、Web研修で実施できるトレーニングプログラム内容を検討する。そのため、Web研修の実施に向けて、ITに詳しい研究分担者を1名追加し、対応する。そして、ファシリテーター研修については、従業員数が多い事業所でファシリテーターを置き、研修を試行することが望ましいが、訪問看護・訪問介護事業所は小規模事業所が多く、必要があれば介護施設での研修実施を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により、予定していた研究打ち合わせがリモート会議になり、研修会についても、現地開催ではなく、Web開催となったため、旅費が不要となったこと、研究分担者自身の予算執行がなかったためである。 トレーニングのためのパンフレットなどに予算を使用する計画である。
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